渡来愛花
「べ、別に特別な感情とかないけど、どうしてこの私があの馬鹿のお守りを!?」

渡来 愛花

 自分たちは進化した人間で、やがて人類を導いていく存在だと思っていた。選ばれた私たちの手に、地球の命運がかかっているんだと、単純に信じていた。
セラフィエルが襲来したとき、E.G.O.の本部にいた。藤宮真由美を遠隔サポートするバックアップエスパーの一員だった。
藤宮真由美の戦闘を意識接続状態で体験して、恐怖した。仲間のエスパーが過負荷でばたばたと昏倒していく姿を見て、愕然とした。そこは、名誉とか才能が意味をなさない、ひどくなまなましい闘争の場だった。
戦いが終わって、本部を出ると、東京はセラフィエルによる砲撃で被災していた。都内のエスパーのほぼ全員が真由美のサポートに駆り出されていたので、人命救助活動ができたエスパーは皆無に近かった。
私たちが動員されていれば、かなりの人名が救えたのでは?
進化した人間が、人類を導く――。それって本当なの?
幼なじみの少年が、倒壊しかけた木造家屋に飛びこんで、何人かを助け出したらしいと聞いた。出火した家屋に飛びこんで、自分は怪我をしたらしい。価値ある戦いとはいったい何だろう。
ある日、E.G.O.上層部から秘密の命令を受けた。とある人物がマインドブレイカーかもしれない。動向を探って報告せよ、というのだ。その人物とは……。