ストーリー

アクエリアンエイジ フラグメンツ~調和の杯~ 断片4

アクエリアンエイジ フラグメンツ~調和の杯~ 断片4

断片4「吸血鬼覚醒」  サン・ジェルマンは暗闇の中に身を沈めている。 「マインドブレイカーを何人か捕獲できないかな?」  スイレンがこたえた。 「大師さま、それは少々難しゅうございます」 「なぜ?」 「乱獲がたたって、個体数が少なくなっております。一時期、さかんに人体実験に使われましたので」 「でも、絶滅したわけじゃないだろう?」 「有用性が認められたのちは、生き残ったマインドブレ...

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アクエリアンエイジ フラグメンツ~調和の杯~ 断片3

アクエリアンエイジ フラグメンツ~調和の杯~ 断片3

断片3「蛇神降臨」 「ああ、それにしても残念だ。アレクサンドラの人造神、ひと目でいいから見てみたかったな。どんな存在が生まれただろう、人格は存在したのかな。返す返すも失敗が残念だ、まったく」 「大師さま、それが成功していたら、あなた様はこの世界にいらっしゃることができませんので、ごらんになれません」  真っ暗な場所。どこかの部屋なのか、異次元のはざまなのか。  それすらもはっきりしない場所に、金色の灯りがひとつだけ浮かんでい...

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アクエリアンエイジ フラグメンツ~調和の杯~ 断片2

アクエリアンエイジ フラグメンツ~調和の杯~ 断片2

断片2「黒幕、再臨」 「ご免!」  桜崎翔子は伊勢あかりをかばって間に飛び込んだ。紐でくくった麻雀牌を懐から取り出し、膝立ちになって構える。  この妖気は最近知ったばかりだ。WIZ-DOM。西洋の魔女たちが発する青い妖気。  しかしなぜだ。  斎宮に仕える巫女から、魔女の妖気が出ている!?  呪殺が飛んでくる――かと翔子は思った。  だが、睡蓮(すいれん)が狙ったのはあかりの命ではなかった。  彼女が指さした...

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アクエリアンエイジ フラグメンツ~調和の杯~ 断片1

アクエリアンエイジ フラグメンツ~調和の杯~ 断片1

断片1「斎の宮姫とギャンブル巫女」  目の前に、金髪碧眼の巫女がいて、ささやくような声で、 「ちょっと、こちらでお待ち下さいましね」  と言った。  むーっ。  たぶん英国人だと思うが。  典型的な西洋人顔に、白衣・緋袴の巫女装束の組み合わせ。  タダ者ではない。  何者だ?  秘められた過去とか。  よんどころない事情とか。  ドラマチックな境遇とか。  何かいろいろありそうじゃないか。 ...

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アクエリアンエイジ フラグメンツ~望刻の塔~ 断片6

アクエリアンエイジ フラグメンツ~望刻の塔~ 断片6

断片6  思えば奇妙な状況。  はるか紀元前に存在した、石とレンガ造りのジッグラト。それが今、東欧に再現されている。  最上階には、それぞれ独自の進化をはたした、異能をそなえた超人たち。  たった1人で万人と渡り合える超人類が、ここには何人もいる。  その中で、青白い少女だけが異質。  外壁沿いの上空で暴れ狂う3つ首の竜よりも彼女が異質だった。  おそらくこの少女は、常人とさほど変わらない戦闘力しか持ち合わせていないだろう。  威圧が感...

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アクエリアンエイジ フラグメンツ~望刻の塔~ 断片5

アクエリアンエイジ フラグメンツ~望刻の塔~ 断片5

断片5  念動力で自分自身を持ち上げて、藤宮真由美は巨大な塔の頂上近くに降り立った。  塔の外周にらせん状に巻きついている回廊をしばらく道なりに進むと、塔の内部に入ることができそうな、扉のない入り口があった。そこから内部に入った。  また通路だ。  誰もいない。  建設中のはずなのに、作業者の姿すら見えない。タイルが敷かれたモザイクの床を踏むたびに、自分の革靴の音が響く。  あちこちの採光窓から光が取り入れられているので、暗くはないが、...

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アクエリアンエイジ フラグメンツ~望刻の塔~ 断片4

アクエリアンエイジ フラグメンツ~望刻の塔~ 断片4

断片4  エレベーターのドアが開いた。  エントランスから、両開きの重い扉を開くと、そこは屋上ヘリポートだった。  白い駐機指示のペイントがアスファルト敷きの床に描かれている。駐機しているヘリコプターはいない。  航空警告灯の赤い光が、あやしく明滅している。  深夜。  郊外の町に孤高にそびえ立つ高層ビルの屋上。  そこに足を踏み入れた小石川愛美と桜崎翔子は、上空の強い風に吹き付けられた。髪が暴れる。スカートと袴が、脚に貼り付く。 ...

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アクエリアンエイジ フラグメンツ~望刻の塔~ 断片3

アクエリアンエイジ フラグメンツ~望刻の塔~ 断片3

断片3  深夜。  そして無人。  非常口を示すグリーンの誘導灯だけが、無機質に光っている。  斎木インダストリー本社ビル。その広大なエントランスホール。  長い髪が揺れる。  小石川愛美と、足元から伸びる彼女の長い影が、小さな足音をひびかせて歩く。  こそこそした態度はない。堂々としたものだ。  ビル内に入り込むのは簡単なことだった。  単に、金属製のドアを「よいしょ」と言って開け、裏口から歩いて入っただけだ。ちょっと特技を使って、隣接...

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アクエリアンエイジ フラグメンツ~望刻の塔~ 断片2

アクエリアンエイジ フラグメンツ~望刻の塔~ 断片2

断片2 建てられて100年も経たない館には住みたくないものだ。  近頃のニンゲンどもは、新築をことさらに喜ぶという話だ。ものの価値がわからぬにもほどがあるというもの。  この館の調度品に、新品のものなどひとつもない。買い求めるにしても、必ず使い込まれたものを選ばねばならない。  高貴なものは、必ず古いのだ。  あまりにも豪奢で貴重なものであるから、曇りひとつないよう、執事たちが毎日欠かさず懇切丁寧に磨き上げる。使用人は調度品に触れるときいつ...

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アクエリアンエイジ フラグメンツ~望刻の塔~ 断片1

アクエリアンエイジ フラグメンツ~望刻の塔~ 断片1

断片1  腕にずっしりくる鞄を両手で提げて、通学バスのステップを下り、住宅街の坂道を歩いて自宅に帰ってきた小石川愛美が、自分の部屋のドアを開けると、そこには藤宮真由美がいた。 「まなちゃん、どーも」  セーラー服の藤宮真由美は、ペニーローファーの革靴を両手にぷらぷらさせながら、緊張感のないあいさつをした。  とすると、玄関からまともに入ってきたわけではなさそうだ。  気にしてはいけない。  ここが二階であることも、気にしてはい...

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