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	<title>アクエリアンエイジ公式サイト &#187; ストーリー</title>
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	<description>美少女TCG（トレーディングカードゲーム）の真骨頂「アクエリアンエイジ」公式サイト 2011年10月より新シリーズスタート！</description>
	<lastBuildDate>Fri, 21 Apr 2017 07:49:32 +0000</lastBuildDate>
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		<title>キャラクタープロフィール</title>
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		<pubDate>Fri, 09 Nov 2012 07:30:37 +0000</pubDate>
		<dc:creator>aqweb_admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[キャラクタープロフィール]]></category>
		<category><![CDATA[ストーリー]]></category>

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		<description><![CDATA[キャラクタープロフィール 惑星シリーズメインキャラクター 渡来 愛花 「べ、別に特別な感情とかないけど、 どうしてこの私があの馬鹿のお守りを!?」 八剣 うめ 「じゃあもう死ねばいいです」 レミリア・スウェーデンボルグ 「自分自身の半身を失って、どうして生きていけるというの？」 久遠寺 みやこ 「どんなことされても、それでも人間が大好きですよ」 フォルナ・スウェーデンボルグ 「あなたにもう一度会えるなら、どんなことだってするよ」 真代 詠 「お兄ちゃんと一緒にいたかったよ。 でも、どうしようもないの。さよなら」 キャラクタープロフィール エクセルダウンロード アクエリアンエイジに登場する多種多様なキャラクターのプロフィールを公開しています。 プロフィールをご覧になる場合は下記よりExcelファイルをダウンロードしてください。 Excelファイルがご覧になれない方は「Microsoft Excel Viewer」を ダウンロードしてお使いください。 キャラクタープロフィール 惑星シリーズ エクセルダウンロードキャラクタープロフィール エクセルダウンロード ※カードリストの配布はZIP形式となっております。　ファイルを開く際はZIP形式に対応した解凍ソフトが必要になります。 ※Excelファイルがご覧になれない方は「Microsoft Excel Viewer」をダウンロードしてお使いください。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="textbox">
              <a name="chara" id="chara"></a>
              <h5 class="chapter">キャラクタープロフィール 惑星シリーズメインキャラクター</h5>
              <div class="acenter">
                <table>
    <tr>
      <td width="150"><a href="https://www.aquarian-age.org/profile-aq04-ego01/"><img src="https://www.aquarian-age.org/wordpress/wp-content/uploads/profile-aq04-ego01_thm.jpg" alt="女神マスターズ公式サイト" width="150" height="150" border="0" class="img_line" /></a></td>
      <td width="150"><a href="https://www.aquarian-age.org/profile-aq04-ara01/"><img src="https://www.aquarian-age.org/wordpress/wp-content/uploads/profile-aq04-ara01_thm.jpg" alt="女神マスターズ公式サイト" width="150" height="150" border="0" class="img_line" /></a></td>
      <td width="150"><a href="https://www.aquarian-age.org/profile-aq04-wiz01/"><img src="https://www.aquarian-age.org/wordpress/wp-content/uploads/profile-aq04-wiz01_thm.jpg" alt="女神マスターズ公式サイト" width="150" height="150" border="0" class="img_line" /></a></td>
      </tr>
    <tr class="vatop">
      <td><div class="acenter"><strong>渡来 愛花</strong></div>
        <span class="xsmall">「べ、別に特別な感情とかないけど、 どうしてこの私があの馬鹿のお守りを!?」</span></td>
      <td><div class="acenter"><strong>八剣 うめ</strong></div>
        <span class="xsmall">「じゃあもう死ねばいいです」</span></td>
      <td><div class="acenter"><strong class="xsmall">レミリア・スウェーデンボルグ </strong></div>
        <span class="xsmall">「自分自身の半身を失って、どうして生きていけるというの？」</span></td>
      </tr>
    <tr>
      <td><a href="https://www.aquarian-age.org/profile-aq04-dark01/"><img src="https://www.aquarian-age.org/wordpress/wp-content/uploads/profile-aq04-dark01_thm.jpg" alt="女神マスターズ公式サイト" width="150" height="150" border="0" class="img_line" /></a></td>
      <td><a href="https://www.aquarian-age.org/profile-aq04-kyokusei01/"><img src="https://www.aquarian-age.org/wordpress/wp-content/uploads/profile-aq04-kyokusei01_thm.jpg" alt="女神マスターズ公式サイト" width="150" height="150" border="0" class="img_line" /></a></td>
      <td><a href="https://www.aquarian-age.org/profile-aq04-eraser01/"><img src="https://www.aquarian-age.org/wordpress/wp-content/uploads/profile-aq04-eraser01_thm.jpg" alt="女神マスターズ公式サイト" width="150" height="150" border="0" class="img_line" /></a></td>
      </tr>
    <tr class="vatop">
      <td><div class="acenter"><strong>久遠寺 みやこ</strong></div>
        <span class="xsmall">「どんなことされても、それでも人間が大好きですよ」</span></td>
      <td><div class="acenter"><strong class="xsmall">フォルナ・スウェーデンボルグ </strong></div>
        <span class="xsmall">「あなたにもう一度会えるなら、どんなことだってするよ」</span></td>
      <td><div class="acenter"><strong>真代 詠</strong></div>
        <span class="xsmall">「お兄ちゃんと一緒にいたかったよ。 でも、どうしようもないの。さよなら」 </span><br /></td>
    </tr>
                </table>
</div>
              <br />
              <a name="data" id="data"></a>
              <h5 class="chapter">キャラクタープロフィール エクセルダウンロード</h5>
              <p>アクエリアンエイジに登場する多種多様なキャラクターのプロフィールを公開しています。<br />
                プロフィールをご覧になる場合は下記よりExcelファイルをダウンロードしてください。<br />
                Excelファイルがご覧になれない方は「<a href="http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?familyid=1CD6ACF9-CE06-4E1C-8DCF-F33F669DBC3A&amp;displaylang=ja" target="_blank">Microsoft Excel Viewer</a>」を<br />
                ダウンロードしてお使いください。</p>
	          <p><a href="https://www.aquarian-age.org/wordpress/wp-content/uploads/file/aq_profile_galaxy.zip" target="_blank" class="dl">キャラクタープロフィール 惑星シリーズ <br />
              エクセルダウンロード</a><a href="https://www.aquarian-age.org/wordpress/wp-content/uploads/file/aq_profile.zip" target="_blank" class="dl">キャラクタープロフィール <br />
              エクセルダウンロード</a></p>
	          <p><span class="product"><span class="xsmall">※カードリストの配布はZIP形式となっております。<br />　ファイルを開く際はZIP形式に対応した解凍ソフトが必要になります。</span><br />
                <span class="xsmall">※Excelファイルがご覧になれない方は「<a href="http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?familyid=1CD6ACF9-CE06-4E1C-8DCF-F33F669DBC3A&amp;displaylang=ja" target="_blank">Microsoft Excel Viewer</a>」をダウンロードしてお使いください。</span></span></p>
</div>]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>野良猫&#8221;久遠寺みやこ&#8221; －はじまりの狂想曲－</title>
		<link>https://www.aquarian-age.org/story-miyako01/</link>
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		<pubDate>Tue, 19 Jun 2012 07:00:33 +0000</pubDate>
		<dc:creator>aqweb_admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[ショートストーリー]]></category>
		<category><![CDATA[ストーリー]]></category>

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		<description><![CDATA[　季節の変わり目の風が、気まぐれな力強さで街路樹を揺らし、少女の傍らを駆け抜けていく。 　フードつきのケープを羽織った彼女は、そこに溶けた新緑の息吹―――よりも、むしろ甘くて香ばしい屋台の甘味の匂いに鼻をひくつかせて、だらしなく口元を緩める。 「うにゃ‥‥‥タイ焼きの香り‥‥‥いいにゃあ♪」 　ふらふらとその源に向かいかけたところで、今し方のそれよりはるかに勢いある風が、かぶっていた彼女のフードをめくりあげようとした。 「わっ、わわわっ！？」 　慌てて両手で押さえ込むと、おっかなびっくりで周囲を確認。目撃者がいないことに安堵しつつ、小走りで路地裏へと駆け込んでゆく。 「あ‥‥‥危なかったにゃ。危うく、スポーツ新聞の特ダネにされるとこだったにゃ」 　薄暗がりの中でフードを外して、額の汗を手の甲でぬぐう少女の、その頭には。 　まごうことなきネコの耳が生えていて、ぴくぴくと落ち着きなく動いていた。 　　　　◆ 　久遠寺みやこ―――【ダークロア】に所属する獣人の少女である。 　ひょんなことから無くしてしまった記憶の断片だけを頼りに、かつての自分の「ご主人さま」のもとに帰るべく、今日もあてどのない放浪の旅を続ける身の上だ。 　そう言ってしまえば聞こえはいいが、現実は色々と世知辛い。異星勢力との戦闘で負傷した結果、人間社会に緊急避難したまではよかったものの、勝手の違いに翻弄されて、なかなか旅は進まない。 　主な原因のひとつは【お金】というやつだ。 　とかく人間社会は便利だが、これがなくてはなにひとつ立ちいかない。 「タイ焼きひとつ食べるのだって、ままならないんだもんにゃあ‥‥‥」 　食べてゆくだけならどうにかできる獣人のたくましさがあるとはいえ、目の前に素敵な物を並べられた挙げ句におあずけをくらっては、どうにもこうにもたまったものではない。 （まあ、食べ物に関してだけだったら……やりようは、いくつかあるんだけどさ……） 　野良として身につけた知恵なのだが、どれも良心の呵責をともなうので、陽性な性格のみやこには抵抗がある。そもそも異分子は自分のほうなのだ。ルールを無視した不正手段で利を得るのは卑怯な気がしたし、なにより、もやっとした気分が後を引いてしまう。 　つまり根っからの部分で、彼女はとっても【よい子】なのである。 　まあ―――それも時と場合によるものであるのだが。 　　　　◆ 　落ち着きを取り戻して、再び雑踏の中に紛れようとしたみやこは、ふと立ち止まる。 　人間たちのそれより、もっと嗅ぎ慣れた匂いが鼻を掠めたのだ。 （同族（なかま）が近くにいる！？） 　思わずこぼれかけた笑みは、だが半ばで硬直し、眉間の縦皺へと変わる。 　ほのかに入り交じった鉄錆を思わせるそれは、明らかに血の臭いだった。 「‥‥‥ッ！」 　躊躇せず、その源に急ぐ。雑居ビルを隔てた細道の奥に、手負いの小さな影がふたつ、かばい合うようにしてうずくまっていた。か細いすすり泣きの声も、切れ切れに聞こえてくる。 「キミたち、大丈夫？」 　心配するみやこの声に対して、向けられたのは幼くも勇敢な敵意の視線だった。 「おまえ……だれだ！？」 　小さな犬歯を剥き出しに威嚇してきたのは、やはり獣人の少年だった。年格好は人間でいうところの小学生低学年くらいだろうか。あちこち泥まみれで、顔には擦り傷がいくつもあった。 　そして右の太腿には、応急手当なのだろう、べったり血に染まったハンカチが結ばれている。 （血の匂いの源はこれだったみたいだね） 　最悪の予想が外れてくれたことに、みやこはちょっぴり安堵する。 　が、放っておける状況ではない。 「こわがらないで？　ほら、あたしもおんなじっ♪」 　フードをとって耳を露わにし、スカートの下に隠していた尻尾をふりふりしてみせる。 「あ‥‥‥」 　少年の後ろに隠れるようにしていたもうひとつの影が、ほっとしたようなため息をもらす。 　泣き腫らした赤い目と性別こそ違えど、それは少年とうりふたつの少女だった。 「キミたちって、もしかして双子さん？」 　笑顔でそう話しかけると、ためらいがちに、二人はこくんとうなずいた。 　　　　◆ 　双子の姉弟は、姉がサランで弟がリンドだと名乗った。 　かつてのみやこがそうであったように、戦禍を避けて人間の町まで逃げてはきたものの、親たちとはぐれてしまい、どうしたらいいのか途方に暮れていたのだという。 「そっかぁ‥‥‥でも、もうだいじょうぶだよ」 　にんまり笑って、みやこは二人の頭をぽんぽんと叩いて請け負う。 「あたしが、なんとかしてあげちゃうから」 　根拠はなくとも、小さなこの子たちを放っておくなんてことは絶対できない。寒くって、お腹が空いて、心細い思いを味わったことのある自分だからこそ、この子たちに同じ思いをさせたくはなかった。今の自分にできることは、何だってしてあげたかった。 「はい、これ着て？　あったかいから」 　脱いだケープを姉に羽織らせ、フードの紐をきっちりと結んでやる。まだ警戒気味な弟にもジャケットを着せてやると、二人の身体から少しだけ強張りがとれた気がした。 　が、それで終わりではなかった。 「よいしょ……っと」 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="boxtext">
            <p>　季節の変わり目の風が、気まぐれな力強さで街路樹を揺らし、少女の傍らを駆け抜けていく。
<br />　フードつきのケープを羽織った彼女は、そこに溶けた新緑の息吹―――よりも、むしろ甘くて香ばしい屋台の甘味の匂いに鼻をひくつかせて、だらしなく口元を緩める。
<br />「うにゃ‥‥‥タイ焼きの香り‥‥‥いいにゃあ♪」
<br />　ふらふらとその源に向かいかけたところで、今し方のそれよりはるかに勢いある風が、かぶっていた彼女のフードをめくりあげようとした。
<br />「わっ、わわわっ！？」
<br />　慌てて両手で押さえ込むと、おっかなびっくりで周囲を確認。目撃者がいないことに安堵しつつ、小走りで路地裏へと駆け込んでゆく。
<br />「あ‥‥‥危なかったにゃ。危うく、スポーツ新聞の特ダネにされるとこだったにゃ」
<br />　薄暗がりの中でフードを外して、額の汗を手の甲でぬぐう少女の、その頭には。
<br />　まごうことなきネコの耳が生えていて、ぴくぴくと落ち着きなく動いていた。
<br />　　　　◆
<br />　久遠寺みやこ―――【ダークロア】に所属する獣人の少女である。
<br />　ひょんなことから無くしてしまった記憶の断片だけを頼りに、かつての自分の「ご主人さま」のもとに帰るべく、今日もあてどのない放浪の旅を続ける身の上だ。
<br />　そう言ってしまえば聞こえはいいが、現実は色々と世知辛い。異星勢力との戦闘で負傷した結果、人間社会に緊急避難したまではよかったものの、勝手の違いに翻弄されて、なかなか旅は進まない。
<br />　主な原因のひとつは【お金】というやつだ。
<br />　とかく人間社会は便利だが、これがなくてはなにひとつ立ちいかない。
<br />「タイ焼きひとつ食べるのだって、ままならないんだもんにゃあ‥‥‥」
<br />　食べてゆくだけならどうにかできる獣人のたくましさがあるとはいえ、目の前に素敵な物を並べられた挙げ句におあずけをくらっては、どうにもこうにもたまったものではない。
<br />（まあ、食べ物に関してだけだったら……やりようは、いくつかあるんだけどさ……）
<br />　野良として身につけた知恵なのだが、どれも良心の呵責をともなうので、陽性な性格のみやこには抵抗がある。そもそも異分子は自分のほうなのだ。ルールを無視した不正手段で利を得るのは卑怯な気がしたし、なにより、もやっとした気分が後を引いてしまう。
<br />　つまり根っからの部分で、彼女はとっても【よい子】なのである。
<br />　まあ―――それも時と場合によるものであるのだが。
<br />　　　　◆
<br />　落ち着きを取り戻して、再び雑踏の中に紛れようとしたみやこは、ふと立ち止まる。
<br />　人間たちのそれより、もっと嗅ぎ慣れた匂いが鼻を掠めたのだ。
<br />（同族（なかま）が近くにいる！？）
<br />　思わずこぼれかけた笑みは、だが半ばで硬直し、眉間の縦皺へと変わる。
<br />　ほのかに入り交じった鉄錆を思わせるそれは、明らかに血の臭いだった。
<br />「‥‥‥ッ！」
<br />　躊躇せず、その源に急ぐ。雑居ビルを隔てた細道の奥に、手負いの小さな影がふたつ、かばい合うようにしてうずくまっていた。か細いすすり泣きの声も、切れ切れに聞こえてくる。
<br />「キミたち、大丈夫？」
<br />　心配するみやこの声に対して、向けられたのは幼くも勇敢な敵意の視線だった。
<br />「おまえ……だれだ！？」
<br />　小さな犬歯を剥き出しに威嚇してきたのは、やはり獣人の少年だった。年格好は人間でいうところの小学生低学年くらいだろうか。あちこち泥まみれで、顔には擦り傷がいくつもあった。
<br />　そして右の太腿には、応急手当なのだろう、べったり血に染まったハンカチが結ばれている。
<br />（血の匂いの源はこれだったみたいだね）
<br />　最悪の予想が外れてくれたことに、みやこはちょっぴり安堵する。
<br />　が、放っておける状況ではない。
<br />「こわがらないで？　ほら、あたしもおんなじっ♪」
<br />　フードをとって耳を露わにし、スカートの下に隠していた尻尾をふりふりしてみせる。
<br />「あ‥‥‥」
<br />　少年の後ろに隠れるようにしていたもうひとつの影が、ほっとしたようなため息をもらす。
<br />　泣き腫らした赤い目と性別こそ違えど、それは少年とうりふたつの少女だった。
<br />「キミたちって、もしかして双子さん？」
<br />　笑顔でそう話しかけると、ためらいがちに、二人はこくんとうなずいた。
<br />　　　　◆
<br />　双子の姉弟は、姉がサランで弟がリンドだと名乗った。
<br />　かつてのみやこがそうであったように、戦禍を避けて人間の町まで逃げてはきたものの、親たちとはぐれてしまい、どうしたらいいのか途方に暮れていたのだという。
<br />「そっかぁ‥‥‥でも、もうだいじょうぶだよ」
<br />　にんまり笑って、みやこは二人の頭をぽんぽんと叩いて請け負う。
<br />「あたしが、なんとかしてあげちゃうから」
<br />　根拠はなくとも、小さなこの子たちを放っておくなんてことは絶対できない。寒くって、お腹が空いて、心細い思いを味わったことのある自分だからこそ、この子たちに同じ思いをさせたくはなかった。今の自分にできることは、何だってしてあげたかった。
<br />「はい、これ着て？　あったかいから」
<br />　脱いだケープを姉に羽織らせ、フードの紐をきっちりと結んでやる。まだ警戒気味な弟にもジャケットを着せてやると、二人の身体から少しだけ強張りがとれた気がした。
<br />　が、それで終わりではなかった。
<br />「よいしょ……っと」
<br />　ぽいぽいっとブーツを脱ぎ捨て、あまつさえスカートまでずり下ろす。しなやかな曲線を描く裸身を躊躇せず晒してゆく。慌てて目を背ける弟くんにもお構いなしであった。
<br />「悪いけど、大事にあずかっててね？　一張羅だから」
<br />　脱ぎ散らかした服を、慌てて拾うサランにウィンクすると。
<br />　一糸纏わぬ姿となったみやこは、アスファルトに手をつくと、まるで猫がそうするように大きく伸びをしながら―――メタモルフォーゼを開始した。
<br />　　　　◆
<br />「うおっ、野良のミャーコじゃない！？　うっわ、久しぶりすぎぃ～っ♪」
<br />　町外れにある古びた一軒屋の、あんまり手入れのされていない中庭。
<br />　そこに現れた黒づくめの珍客に、藤子（ふじこ）はたちまち相好を崩した。
<br />「うみゃぁ～♪」
<br />「元気だったか？　またカラスたちにいじめられたりしてなかったか？」
<br />　よく利用する弁当屋の裏で、廃棄されたシャケ弁の争奪戦を繰り広げる黒猫とカラスたちを見たのは、二ヶ月ほど前のことだっただろうか。多勢に無勢で翻弄されつつも、必死にがんばるチビの姿がいじらしくて、思わず保護して連れ帰ってしまった時の記憶が甦ってくる。
<br />「出されたエサはきっちり平らげるくせして、お前、ミャーコって呼ばないと返事しないんだもんね」
<br />　そんな意固地さがいかにも猫らしくて、しばらく居候させてやったのだ。
<br />　弱小地方新聞の新米記者などという、酔狂で大変な仕事をしている彼女にとって、ミャーコの存在はささやかな癒やしとなった。
<br />　ふいに姿をくらましてしまった時には、ちょっぴり泣けるほどに。
<br />　だからこそ、突然の来訪がうれしくてたまらない。
<br />　ミルクでもふるまってやろうとした藤子の、そのジーンズの裾が懸命に引っ張られた。みゃあみゃあと必死さだけは伝わる仕草で緊急事態を把握した彼女は、やがて黒いチビ猫に導かれ、暮れなずむ町に向かって小走りに駆け出してゆくのだった。
<br />　　　　◆
<br />―――ね、なんとかなったでしょ？
<br />　人間にはただの鳴き声にしか聞こえぬ波長の声で、子猫の姿のみやこは双子たちに語りかけた。
<br />　あったかいホットミルクのマグカップをそれぞれ手に抱えたまま、子供たちは不安そうな面持ちで、それでもこっくりとうなずいた。泥だらけだった手足は温めたタオルで綺麗に拭われていて、擦り傷や切り傷には、不器用ながらもバンソーコや包帯による手当てがされている。
<br />　全部、この家の主人である藤子の手によるものであった。
<br />（やっぱり、フジコさんを頼って正解だったのにゃ♪）
<br />　ここの家主の優しさは、身に染みてわかっていた。居心地のよさについ甘えて、長居してしまったくらいなのだから。正体を隠しているのが心苦しくて、打ち明けたくなってしまったほどに。
<br />（結局、また甘えちゃったけど……）
<br />　疲れ果てた子供たちを見るなり、彼女は速効で保護してくれた。耳や尻尾を見つけた時には、一瞬だけ戸惑ったけれど、それでもこうして連れ帰って、優しくいたわってくれている。
<br />　心苦しさはあったが、子供たちのためにはこれでよかったのだと、みやこは後悔していない。
<br />　自分にできないことをしてくれた藤子に深く感謝し、小さな頭をぺこりと下げた。
<br />「いいのよ、ミャーコ。よくぞ報せてくれたわね」
<br />　優しくその喉を撫でて笑っていた藤子は、やがて、思い切ったように視線を双子へと向けた。
<br />「ねえ、キミたちはいったい何者なの？」
<br />　意図的に守られていた静謐な空気に、強張った緊張感が走る。
<br />　警戒と威嚇の眼差しを向ける弟をそっと制して、姉は異種族の恩人へと告げる。
<br />「助けてくださってありがとうございます。すぐに、出ていきますから……」
<br />　うにゃあ、と驚愕したミャーコの声にかぶせるようにして、慌てて藤子がとりつくろう。
<br />「そういう意味じゃないの！　ただ、私はこれでも新聞記者だから……」
<br />　知りたかったのだ―――ずっと感じ続けている、この世界へと生じた違和感の正体を。
<br />　闇夜に跋扈する不穏な影や、空を飛ぶ不思議な光。
<br />　原因不明のまま、ただの事故災害として報じられるだけの、大小の破壊の爪痕。
<br />　オカルト雑誌のネタだと笑い飛ばすには、物証が生々しすぎて笑えない。
<br />　みんな不安に思っているのに、けれど不思議と騒ぎ立てることもしない。
<br />　まるで―――見えない意思と力で隠蔽され、封じ込められてしまっているかのように。
<br />　が、図らずもこうして、彼女はその一端らしき超常の存在に接触してしまった。
<br />　だから、問わずにはいられなかったのだ。
<br />　相手が不安に苛まれ続けている、幼い子供たちであることを失念してしまうほどに。
<br />「話したら、オレたちのこと、あいつらに報せるつもりだろッ！？」
<br />　噛みつくような勢いで、獣人の少年が吠えた。
<br />　野性を証明するようなその剣幕に、藤子は思わず身を引くと同時に、自分の軽率さに気づく。
<br />　謝罪の言葉を探す数瞬のうちに、弟をいさめた少女が、悲しげに告げる。
<br />「話したら、きっと貴方に迷惑がかかります。今こうしてここにいるだけでも、本当は‥‥‥」
<br />　言い終えるよりも早く、耳をつんざく爆発音が、それが真実であることを証明した。
<br />　　　　◆
<br />「み゛ゃみゃーっ！？」
<br />「きゃあああぁぁーっ！？」
<br />　三人と一匹のあげた悲鳴を耳にして、襲撃者たちは一様にほくそ笑んだ。
<br />　自重して獲物が出てくるのを待つよりも、こうしていぶりだしてやるほうが手っ取り早い。
<br />　これこそがまさに【帝国】の戦のやり方というものだ。
<br />「今宵は新月……ケダモノたちの力が弱まる、絶好のハンティングタイムだわねぇ」
<br />　さりとて油断は禁物だ。獣人たちはあきれる程にしぶとい。ちょっとやそっとのダメージを与えたくらいでは、前と同じように逃げられてしまいかねない。
<br />「徹底的にブチのめしてあげなくちゃねぇ……うふふっ♪」
<br />　魔力の火球を次々と放り投げながら、部隊の長は兵士たちを威勢よくあおり立てる。
<br />「さあ、みんな！　いっちょ景気よく、ひと狩りいくわよぉ！」
<br />　　　　◆
<br />（【極星帝国】の【獣人捕獲部隊】！？）
<br />　人間とも自分たちとも異なる、異世界の香りを嗅ぎつけて、みやこは全てを理解する。
<br />　この双子たちが、どうして傷つき、あんなにも怯えてしまっていたのかを。
<br />（追われていたんだ……）
<br />　富士の樹海において、獣人たちは果敢に異勢力と戦い、手痛い爪痕を残すことに成功した。
<br />　が、それは同時に改めて、獣人という種族の価値を敵に再認識させる結果にもなってしまったのである。
<br />　【獣人捕獲部隊】―――その使命は獣人たちを狩り集めること。生死の別は問わないが、なるべく活きのいい状態のほうが【素材】としての価値があがると、兵達を統率する【ネクロマイスター】は考えている。
<br />　そうして集められた獣人たちは、アンデッドに作り替えられて【帝国】の殺戮兵器となるのだ。
<br />　その有能性は【デス・ストライク】と呼ばれる人狼少女のケースで、すでに証明されていた。
<br />　だが、狩られる者たちにとっては、そんな事情など理解の範疇外である。
<br />「あ～っ、叔父さんから留守を預けられた我が家がぁ‥‥‥」
<br />　爆発と猛火の中に呑まれてゆく。かろうじて引っ掴んで飛びだした通勤用のバッグを抱えたまま、藤子は途方にくれてしゃがみこんでしまっていた。
<br />「逃げなきゃダメだよ、ねえちゃん！？」
<br />「で、でもぉ……っ」
<br />　必死に姉の手を引っ張る弟と、巻き込んでしまった恩人を見捨てられず、躊躇する姉。
<br />　そんな両者へと交互に目をやりながら、あたふたと戸惑い続ける黒猫ミャーコ。
<br />「‥‥‥みぃつけたぁ♪」
<br />　熱風にゆらめく夜闇の向こう側から、鎧を纏った部隊の長が姿を現す。
<br />　右手の火球を松明のように掲げつつ、ゆっくりと獲物たちめがけて近づいてくる。
<br />　反対の手に握りしめた無骨な鈍器には、かつて仕留めた獲物たちの置き土産なのか、錆のように赤茶けた汚れが不気味に染みついていた。
<br />「思いっきり痛めつけてから連れてってあげるわねぇ‥‥‥見てくれが多少悪くなったってさぁ、素材としてはこれっぽっちも問題ないしぃ……」
<br />　むきつけの憎悪におびえきって、身をすくませる双子の獣人姉弟。
<br />　そんな二人の前へと、慌てて、立ちはだかった者がいた。
<br />「こっ、この子たちに手出しはさせないわよっ！？」
<br />　震える脚を必死に踏ん張って、藤子は子供たちをその背にかばう。
<br />「原住民か‥‥‥戦う力もないくせして、エラそうに……」
<br />　手出し無用が原則だが、この状況下では不可抗力で通るだろう。遺体は焼いてしまえばいい。
<br />　躊躇は一瞬のみ。標的を藤子の頭部へと変更して、鈍器が勢いよく振り下ろされる。
<br />　けれど―――その一瞬の躊躇だけで、みやこには充分だった。
<br />　　　　◆
<br />「ひぃぎゃああああああ～っ！？　わ、私の顔があぁぁ～ッ！？！？」
<br />　真下から不意に伸びあがった銀光が、襲撃者の顔面を痛烈にえぐり抜いていた。
<br />　灼熱の痛みに視界を歪ませ、絶叫しながら。
<br />　隊長は見た。
<br />　チビ猫から人間の姿へと変貌した、黒髪の少女の激しい怒りの眼差しを。
<br />　圧倒的な力の差と恐怖。そして、身を焦がすような怒りと恥辱と共に。
<br />「とっとと立ち去りなさい！　でないと……あたし、本気でやっちゃうんだから！！」
<br />　愛らしい声とは裏腹にこめられた、明確すぎるほどの恫喝と敵意。
<br />　予期せぬ新手の獣人の出現に兵士たちは狼狽したものの、すぐに隊長をかばうようにしながら、反撃の陣形を整えていく。
<br />　いきりたつ面々の矛先を制したのは、だが意外にも、手負いとなったその本人だった。
<br />「よせッ！‥‥‥場当たりの対処で狩れるほど、そいつはちょろい獲物じゃない！！」
<br />　慢心の報いを痛烈に受け、激昂から立ち直った彼女の目は、冷たい復讐の炎に燃えていた。
<br />　部隊を束ねる長としての自覚が、そうさせたのだ。
<br />「覚えておけ……次は、相応の支度をしたうえで、必ず仕留めてやるからな……忌々しい黒猫め……ッ！」
<br />　苦々しげにそう吐き捨てると、部下たちに支えられながらも、最後までみやこへと向ける憎悪の視線を外すことなく退却してゆく。
<br />　追いかけて仕留める意思は、みやこにはなかった。
<br />　　　　◆
<br />「みゃ……ミャーコ……だよ、ね？」
<br />　自分の危機を救ってくれた、見知らぬはずの全裸の少女。
<br />　藤子は直感的に、それがあの黒猫ミャーコなのだと悟っていた。
<br />　けれど少女は応えず、ただ悲しげな眼差しを向ける。
<br />「ごめんなさい、フジコさん。あなたの優しさに甘えて、だまして、巻き込んでしまって……」
<br />　深々と頭を下げる。
<br />　それより他に償いようのない自分が悔しくて、みやこの瞳からぽろぽろと涙がこぼれた。
<br />「ご恩は一生忘れません。いつか、いつかきっと、返せるようにがんばりますから……っ」
<br />　手の甲でそれをぬぐい、双子たちに目配せをすると。
<br />「さようなら！」
<br />　信じがたい勢いで跳躍して、黒猫の少女は去ってゆく。
<br />　呆気にとられる恩人を、置き去りにしたまま。
<br />　　　　◆
<br />「これからどうするの、みやこお姉ちゃん？」
<br />　薄暗い山道の藪の中。預けていた服を再び身につけ終えたみやこに、サランが問いかける。
<br />「にゃははは、どーしよっか？」
<br />　苦笑しながら、みやこは必死に知恵をめぐらせる。
<br />　【獣人捕獲部隊】に目をつけられてしまった以上、少しでも遠くに逃げるべきであった。
<br />　だが、今宵は新月。しかもまだ幼い二人を連れて、果たしてどこまで逃げ切れるのか。
<br />（フジコさんみたいに、また優しいヒトを巻き込んじゃうのは絶対にイヤだし……）
<br />　自分たちだけでなんとかしたい。けれど、あまりに自分たちは無力すぎて。
<br />　途方に暮れて泣きたくなるのを、ぐっと尻尾に力をこめてガマンする。
<br />　その時だった。
<br />「―――ッ！？」
<br />　ビームランプの眩しい光を向けられて、３人は思わず立ちすくむ。
<br />　夜目を利かせていたことが災いして、とっさに回避行動がとれない。
<br />（しまった‥‥‥ッ！？）
<br />　確定するであろう不意討ちから、双子だけは守るべく、みやこはあえてその背中を晒した。
<br />　歯を食いしばり、衝撃に耐えようとしたその首筋を。
<br />　つうっと、マニキュアを塗った人差し指がくすぐった。
<br />「ひゃみゃあぁ～んっ！？」　
<br />「おーっ、いい声♪　その様子だと、まだまだ元気は残ってるみたいね？」
<br />　アウトドア用の懐中電灯の明度を一段階落としてから、藤子はにんまりと笑って見せた。
<br />「ふふっ、フジコさんっ？　にゃんで……っ」
<br />「心配だったからに決まってるでしょうが、このバカミャーコ！」
<br />　ごちん、と今度はゲンコツを食らわされた。痛くはないけど、何故だか涙がこぼれてしまう。
<br />「お家も燃えちゃったしさ。今日から私もあんたたちと同じ、野良仲間ってことで」
<br />「あ……」
<br />　詫びようとするみやこの口元を、人差し指でそっと封じて、藤子はイタズラっぽく笑った。
<br />「周りに色々と説明するのもめんどくさいしさ。行方不明がてらしばらく、あんたたちの足代わりになってあげてもいいよ」
<br />　促した視線の先には、真っ赤でちっちゃなクラシックカー。
<br />　火事場からかろうじて持ち出してきた、現在の今の彼女の唯一の財産だった。
<br />「手間賃はあなたたちのお話。プライバシーはきちんと守るし、オフレコにも応じちゃうからさ……」
<br />　ダメかしら、と首をかしげる藤子に。
<br />　ぎゅうっと抱きついて、みやこは答える。
<br />「ありがとうございますっ！」
<br />　交渉成立―――だった。
<br />
<br /></p><p class="aright">＜完＞</p>
			</div>]]></content:encoded>
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		<title>アクエリアンエイジ 魔力の水嶺 ショートストーリー 第1話</title>
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		<pubDate>Tue, 13 Mar 2012 09:00:34 +0000</pubDate>
		<dc:creator>aqweb_admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[ショートストーリー]]></category>
		<category><![CDATA[ストーリー]]></category>

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		<description><![CDATA[「お迎えが来るの」と、妹は言った――― 　　　† 「ねえ、お兄ちゃん……」 　名前の通り、詠うように、彼女が言う。 　真代詠―――大事な、大切な俺の妹。 　控えめで、優しくて、でも明るくて。いつも……いつでも俺の後ろをついてきた、かけがえのない家族。 　―――その妹が、俺を呼んでいる。 　現実感のない景色、現実味のない状況、現実とは遠く離れた、まるで物語のような光景の中で、妹が俺のことを呼んでいる。 　上に天使の輪をいただいた頭、本当は黒いはずの髪は淡い光を放つ白に染まり。背には、光とも実体ともつかない輝く翼を背負って。 　右と左に、手を引く天使を伴って。 　なのに着ているのは、「おやすみ」を言った時と同じパステルピンクのパジャマで、そんなところばかりがいつもどおりで、これが夢であるとごまかすことを許してくれない。 　―――妹が、俺を呼んでいる。 　返事をしなくては、連れて行かれないように、その手をとらなくては……そう思うのに、手が足が腕が脚が動かず、口すらも動かない。現実を拒否しようと目を閉ざすことすら、まばたきすることすらも許されない。 　天使の操る不可思議な力のせいなのか、俺がすくんでいるだけなのか、それともこの光景を俺が認めたくないからなのか。 　倒れ伏した俺の身体は、頭の先から脚の指先まで、金縛りにあったように動くことができない。 　立ち向かうことすら許されない、どうしようもない現実に、気持ちは焦るのに、妹の声に答えることができない。 　―――妹が、俺を呼んでいる。 「迎えが来る」と、妹がそう言って寂しげに微笑んだのは、もう何日も前のこと。 　俺は、その言葉を正面から受け止めてやることができなかった。ただただ、そんなのは気のせいだからと、大したことはないと、頭をなでてやることしかできなかった。まさか本当に迎えが来るだなんて、思ってもみなかった。 　その結果が、これだった。 　妹が天使に手を引かれ、去ろうとする、現実味のないこの光景だった。 　……ダメだ。 　行かせては、ダメだ。 　たったひとりの妹を連れて行かせるわけにはいかない。 　大切な、大切な、詠。俺がいないとなにもできない女の子を、たったひとりで行かせるわけにはいかない。 　歯を食いしばる。立ち上がろうと手脚に力を込める。 　動かない身体を動かそうと、奥歯に力を込める。 　言葉だけでも届けと、肺の中身を押し出し、喉にわずかな空気を通す。 　―――妹が、俺を呼んでいる。 「詠……」 　妹への想いが、声になる。 　この声が呼び止める鎖になり、引き留める楔になり、立ち上がる力になる。そう信じて俺は、詠の名を声にする。 「詠っ！」 「ねえ、お兄ちゃん」 　立ち上がろうともがく俺に、詠は言った。 「もう、あきらめて」 　　　　　† 　夕焼けの教室には、数人の級友が残っているだけだった。 「俺、なにをやってるんだろう……」 　呟く声に耳を傾ける同級生はいない。そもそも誰に向けられた呟きでもないのだから、聞いている誰かがいたとしても、答えることなどできないに違いなかった。 　真代開は、今日もこうして学校へ来ている。 　妹が天使に連れ去られてしまったあの日から、はや１週間が経とうというのに、起きて、学校に来て、帰って、寝て……そんなルーチンワークを。妹のいない日常を受け容れることもできないまま、漫然と続けている。 　追えばいい？　 　まさか……そんなことができるわけもない。 　開には超能力もなければ、獣のような力もない。魔法や呪術を使えるわけもなく、奴らのような天使でなければ、伝説の勇者であるはずもない……。 　まして、物語の主人公ですらあるわけもない。 　そんな自分に、なにができるはずもない。 　それに……。 「あれは、あいつが自分で決めたことなんだ」 　去り際に詠が残した、「あきらめて」という言葉が、開に追うことをゆるさない。 　それは、ずっと開の後ろをついてきて、ただ微笑みだけを向けてくれていた妹がはじめて自分の意思で開に向けた拒絶で。だから開は詠を追いかけてはいけないと、そうも思うのだった。 　なら、あきらめるしかない。 　わかっているのに、なのに開は、妹をあきらめることができないままでいる。 　　　　　† 　わたし……渡来愛花には、秘密があった。 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="boxtext">
			  <p>			    「お迎えが来るの」と、妹は言った―――
<br />
<br />　　　†
<br />
<br />「ねえ、お兄ちゃん……」
<br />　名前の通り、詠うように、彼女が言う。
<br />　真代詠―――大事な、大切な俺の妹。
<br />　控えめで、優しくて、でも明るくて。いつも……いつでも俺の後ろをついてきた、かけがえのない家族。
<br />
<br />　―――その妹が、俺を呼んでいる。
<br />
<br />　現実感のない景色、現実味のない状況、現実とは遠く離れた、まるで物語のような光景の中で、妹が俺のことを呼んでいる。
<br />　上に天使の輪をいただいた頭、本当は黒いはずの髪は淡い光を放つ白に染まり。背には、光とも実体ともつかない輝く翼を背負って。
<br />　右と左に、手を引く天使を伴って。
<br />　なのに着ているのは、「おやすみ」を言った時と同じパステルピンクのパジャマで、そんなところばかりがいつもどおりで、これが夢であるとごまかすことを許してくれない。
<br />
<br />　―――妹が、俺を呼んでいる。
<br />
<br />　返事をしなくては、連れて行かれないように、その手をとらなくては……そう思うのに、手が足が腕が脚が動かず、口すらも動かない。現実を拒否しようと目を閉ざすことすら、まばたきすることすらも許されない。
<br />　天使の操る不可思議な力のせいなのか、俺がすくんでいるだけなのか、それともこの光景を俺が認めたくないからなのか。
<br />　倒れ伏した俺の身体は、頭の先から脚の指先まで、金縛りにあったように動くことができない。
<br />　立ち向かうことすら許されない、どうしようもない現実に、気持ちは焦るのに、妹の声に答えることができない。
<br />
<br />　―――妹が、俺を呼んでいる。
<br />
<br />「迎えが来る」と、妹がそう言って寂しげに微笑んだのは、もう何日も前のこと。
<br />　俺は、その言葉を正面から受け止めてやることができなかった。ただただ、そんなのは気のせいだからと、大したことはないと、頭をなでてやることしかできなかった。まさか本当に迎えが来るだなんて、思ってもみなかった。
<br />　その結果が、これだった。
<br />　妹が天使に手を引かれ、去ろうとする、現実味のないこの光景だった。
<br />　……ダメだ。
<br />　行かせては、ダメだ。
<br />　たったひとりの妹を連れて行かせるわけにはいかない。
<br />　大切な、大切な、詠。俺がいないとなにもできない女の子を、たったひとりで行かせるわけにはいかない。
<br />　歯を食いしばる。立ち上がろうと手脚に力を込める。
<br />　動かない身体を動かそうと、奥歯に力を込める。
<br />　言葉だけでも届けと、肺の中身を押し出し、喉にわずかな空気を通す。
<br />
<br />　―――妹が、俺を呼んでいる。
<br />
<br />「詠……」
<br />　妹への想いが、声になる。
<br />　この声が呼び止める鎖になり、引き留める楔になり、立ち上がる力になる。そう信じて俺は、詠の名を声にする。
<br />「詠っ！」
<br />「ねえ、お兄ちゃん」
<br />　立ち上がろうともがく俺に、詠は言った。
<br />「もう、あきらめて」
<br />
<br />　　　　　†
<br />
<br />　夕焼けの教室には、数人の級友が残っているだけだった。
<br />「俺、なにをやってるんだろう……」
<br />　呟く声に耳を傾ける同級生はいない。そもそも誰に向けられた呟きでもないのだから、聞いている誰かがいたとしても、答えることなどできないに違いなかった。
<br />　真代開は、今日もこうして学校へ来ている。
<br />　妹が天使に連れ去られてしまったあの日から、はや１週間が経とうというのに、起きて、学校に来て、帰って、寝て……そんなルーチンワークを。妹のいない日常を受け容れることもできないまま、漫然と続けている。
<br />　追えばいい？　
<br />　まさか……そんなことができるわけもない。
<br />　開には超能力もなければ、獣のような力もない。魔法や呪術を使えるわけもなく、奴らのような天使でなければ、伝説の勇者であるはずもない……。
<br />　まして、物語の主人公ですらあるわけもない。
<br />　そんな自分に、なにができるはずもない。
<br />　それに……。
<br />「あれは、あいつが自分で決めたことなんだ」
<br />　去り際に詠が残した、「あきらめて」という言葉が、開に追うことをゆるさない。
<br />　それは、ずっと開の後ろをついてきて、ただ微笑みだけを向けてくれていた妹がはじめて自分の意思で開に向けた拒絶で。だから開は詠を追いかけてはいけないと、そうも思うのだった。
<br />　なら、あきらめるしかない。
<br />　わかっているのに、なのに開は、妹をあきらめることができないままでいる。
<br />
<br />　　　　　†
<br />
<br />　わたし……渡来愛花には、秘密があった。
<br />　ちょっとした超能力、というのだろうか、念じて集中することで、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ肉体のポテンシャルを引き上げるとかいう、そんな力だ。
<br />　それに気付いたときは、アニメの主人公になった気分だった。
<br />　お風呂で自分の（結構引き締まって、出るところは出た）身体を眺めて、鏡の前でポーズを取ってみたりして。そこそこ有頂天にはなったけれど、それでも案外わたしは慎重だった。そう、この力は誰にも秘密にしようと思ったんだ。
<br />　だって、それはわたしの夢が叶った瞬間だったから。
<br />　そうなんだ、これは、大切な人を守ることのできる力。大好きな家族、ともだち、学校の仲間や先生や近所の人たち……いざというときに、みんなを護ることができるかもしれない力だと思えたから。
<br />　だからこそ秘密にしようと思って、だからそのときはそれでよかった。
<br />　わたしに迎えが来たのはそれからしばらくしてのことだった。
<br />　Ｅ．Ｇ．Ｏ．―――Evolutional Generations Organizaition―――進化した世代による組織……わたしの貧弱な語彙で説明させてもらえちゃうなら、「新人類同盟」みたいな意味になるんだと思う……とにかく、その組織が、このわたし、渡来愛花の力を世界のために使うようにって言ってきたんだ。
<br />　気が進まなかったし、恐かった。わたしが地球のためになにかをできるなんて、当然思ってもいなかった。
<br />　でも、わたしはその申し出を受けることになる。
<br />　Ｅ．Ｇ．Ｏ．の人たちは、世界は今『セラフィエル』とかいう名前の宇宙人の襲来で危機を迎えている……なんて言った。そのセラフィエルは天使の姿をした宇宙人（彼らは『イレイザー』なんて呼んでいた）で、彼らを止めないと地球は滅亡するのだ、と。
<br />　最初は嘘だと思ったけれど、だけどわたしの世界はその後、あっという間に変わってしまった。世界は侵略者との戦いに満ちあふれていて、危機はすぐそこにあるのだと知らされ、それどころか、わたしの通っている高校さえ、Ｅ．Ｇ．Ｏ．の創立者……斎木一族が経営する学校法人で、生徒の中にも組織に所属する超能力者がいると知ってしまったのだった。
<br />　つまり、わたしがＥ．Ｇ．Ｏ．に所属することこそが、大事な人たちの変わらない日常を守ることだと突きつけられたわけで、それは逆を言えば、わたしの小さな力にはみんなを守る力があるっていうことでもあった。
<br />　気分が高揚しなかった、と言えば嘘になる。
<br />　特別感もすこしはあった。
<br />　けれど……現実が容赦なんてしてくれることはない。
<br />　わたしはふたつの経験を経て、わたし自身のちっぽけさを思い知ることになる。
<br />
<br />「ひとつめ」は、天使『セラフィエル』との決戦。
<br />　強大なセラフィエルという敵を相手に、Ｅ．Ｇ．Ｏ．を支えるエキスパートともいえる上位超能力者たちが次々戦線を離脱していった。前線で戦っていた彼女たちに比べたら、わたしの力なんて赤ん坊のようなものなのに、その彼女たちが倒れていく様を見て、わたしにできることなんてたかが知れていると……それどころかなにもできないのだとわかってしまったのだった。
<br />　それでも戦いは終わった。
<br />　戦いの結果、Ｅ．Ｇ．Ｏ．という組織は大きな犠牲を払うことになった。たくさんの人が超能力を失って、大幅に戦力ダウンすることになった組織の実情を目の当たりにしたわたしは、戦いに傷付いた先輩たちの分も、まだ弱い力しかないわたしたちががんばらなくちゃ、なんて思って……だけどそんなふうにすこしは前向きになれた矢先、今から一週間前に、「ふたつめ」が起きたのだった。
<br />
<br />「ふたつめ」―――それはわたしの住む町で起きた出来事。
<br />　夜中、胸のざわめきにわたしは目を醒ました。
<br />　なんだろう……そんな嫌な予感に呼応するように携帯が音を鳴らす。コール音は、Ｅ．Ｇ．Ｏ．の緊急招集のサインだった。
<br />　そうして急ぎ向かった先で、わたしは、Ｅ．Ｇ．Ｏ．の能力者と天使の戦いに遭遇することになった。
<br />　騒動の中心は、クラスメイトの少年とその妹さん。
<br />　このときのわたしは、数日前にＥ．Ｇ．Ｏ．の上層部から、ひとりの少年の監視を言い渡されていた。監視対象の少年こそ『真代開』という、わたしのクラスメイト。ちょっとかわいい顔をしただけの平凡な少年だけれど、その彼がなんらかの能力者である可能性がある、と言うのだ。
<br />　……なるほど、わたしもこうやって監視されていたのだろう。でなければ、目覚めてすぐにＥ．Ｇ．Ｏ．のエージェントが、わたしのところへやって来るわけがないのだから。
<br />　さておき……。
<br />　息をきらしたわたしがたどりついたときには、すでに戦いの趨勢は決していた。どんな攻撃を受けたのか、わたしよりも先に到着していたＥ．Ｇ．Ｏ．の仲間たち三人とクラスメイトの真代くんは気を失い倒れ伏していて、詠ちゃんは、今まさに天使に手を引かれて宙へ去ろうとしているところだったのだ。
<br />　状況を理解できなかった。
<br />　天使の輪を頭上に浮かべ、背中から翼を生やした詠ちゃんの姿に、彼女が敵である天使なのか、救うべき真代くんの妹なのか、そんな判断すらできなくらいわたしは混乱していて、ただ呆然と、起きていることを眺めることしかできなかった。
<br />「詠……」
<br />　真代くんが、うめくように声を絞り出したのは、そのときだった。気を失っているとばかり思っていた真代くんに意識があることを知ったわたしは、我に返って彼のそばに駆け寄ったのだけど、真代くんが、わたしに気付いた様子はなかった。
<br />　わたしなんて意識することもなく、詠ちゃんは真代くんだけを見ていて、真代くんは詠ちゃんだけを見ているのだとわかったんだ。
<br />「ねえ、お兄ちゃん……」
<br />「詠っ！」
<br />　詠ちゃんは静かな表情で真代くんを呼び、真代くんが苦しげに声を絞り出し、妹さんの名前を呼ぶ。だけどそれは、お互いを求める言葉なんかじゃなかった。
<br />「もう、あきらめて」
<br />　その言葉を最後に、詠ちゃんは迎えの天使共々、光になって天へと消えてしまった。
<br />　……わたしは、なにもできなかった。
<br />　それは、数千の超能力者と宇宙人がぶつかった『セラフィエル』との戦いに比べたら、とるにたらない争い。
<br />　ちっぽけな、出来事。
<br />　でもそれは、わたしの身近で起きた、初めての事件だった。
<br />
<br />　　　　　†
<br />
<br />　渡来愛花は教室の後ろに立ち、真代開の背中を見つめていた。
<br />　愛花の見つめる先にいるその少年は、もうすでに１週間もの間ずっと、こんな調子だった。
<br />　クラスの皆はすでに帰り、教室にはふたりきり。夕陽差し込む教室で、真代開は鞄を机の上に出し、ただじっと席に座っている。
<br />　きっと今日もいつものように時間だけが過ぎる。下校のチャイムが鳴るまでこうして時は凍り付き、やがて開は思い出したように席を立って帰路につくのだ。そうして今日も、彼に声をかけられなかった愛花は、ためいきをついてここを立ち去るのだろう。
<br />　仕方がないとは思う。
<br />　開にとって、詠はかけがえのない、何物にも、何者にも代え難い大切な存在だったということを、愛花は知ってしまっているから。
<br />　なぜなら……愛花は、あの真代開という少年と小学校の頃からずっと同じ学校で、何度も同じクラスになってきたから。それは全部偶然で、愛花と開は決して特別親しい間柄ではないけれど……それでも、あの詠という少女が開にとってどんなに大切な存在だったのか、それを知るくらいには、愛花は開の近くにいたのだから。
<br />　しかし。
<br />（わたしには、なにもできない……）
<br />　唇を噛みしめる。
<br />　愛花には、開にかける言葉がない。妹を失って途方に暮れる彼を助けてあげたいのに、その背中にかける声を持っていない。助けてあげられなくてごめんねと言いたいのに、話しかけるきっかけすら見つけることが出来ない。
<br />（わたしは、役立たずだ……）
<br />　―――自分の力を、ほんのちょっと引き上げるだけの能力。
<br />　そんなもの、なんの役にも立ちはしないと思い知ってしまった。
<br />　もっと強ければよかったのに……愛花程度の力では、先輩たちの戦いを助けることすらできず、連れ去られていく真代詠をつかまえることすらできなかった。
<br />　もっと違う力だったらよかったのに……こんな力じゃなくて、念動力のひとつでもあれば、開の机、その隅に置きっぱなしになったシャープペンでも落とすことができれば、それをきっかけにさりげなく彼に話しかけることだってできるのだろう。
<br />（こんな力……）
<br />　なにが、身近な人を守ることが出来る力だ……と思う。
<br />　大好きな家族、ともだち、学校の仲間や先生や近所の人たち……こんな力では、愛花程度の力では、身近な誰かを救うことなどできはしないのに。
<br />　開の背中は、まだ動かないままでいる。
<br />　あの少年もきっと、自分の無力にうちひしがれているのだろう。
<br />　仕方がない。愛花にも、開にも力などないのだ。自分よりも圧倒的に大きな力や自分の力では届かない壁を前にすれば、どうすることもできはしない。
<br />　溜め息をひとつ。愛花は開に背を向ける。
<br />　今、愛花にできることは傷付いた開のその傷が癒えて、天使になった詠が帰ってこない現実を受け容れるまで、そっとしておくことだけだ。
<br />　しかし……。
<br />「詠……くそっ」
<br />　その言葉に、愛花は脚を止めた。
<br />「あきらめるなんて……できるかよ」
<br />　振り向く。
<br />　愛花の視線の先で、少年の背は震え、その拳は強く握られていた。
<br />　はっとする。息を呑む。
<br />　脚が勝手に動いていた。並んだ机に身体がぶつかるけれど、そんなの気にも留めずにずかずかと歩み寄り、気が付いたら愛花は開の目の前に立っていた。
<br />　開が愛花に気が付き、顔を上げる。
<br />　なにが起きたのか、どうして愛花が目の前に立っているのかがわからない……愛花を見上げる開は、そんな顔をしていた。
<br />　そんな開の戸惑いをよそに、愛花の唇から、言葉が堰を切ってあふれ出す。
<br />「ちょっと！　なにあんたボケッとしてるのよ！　シャキッとしなさいよシャキッと！」
<br />　本当は慰めたいと思っていたはずなのに、なにもできなくてごめんねと謝りたかったはずなのに。そんな想いとは裏腹に、口をついて出たのは、開に向けた叱責だった。
<br />　開は、驚きを隠せないでいた。
<br />　当たり前だ。こんな暴言、傷付いている同級生に向けていい言葉のわけもない。
<br />　何を言っているのかと、愛花自身も半分パニックだった。なのに、それなのに言葉を止められない。
<br />「いつまでもうじうじしてちゃダメでしょうが！　助けに行きたいならさっさと行きなさいよ！」
<br />　それは、愛花自身に向けられた言葉でもあって。
<br />「だけど詠は……」
<br />「だけどじゃない！」
<br />　無茶を言っているなんて、百も承知だ。
<br />　でも止まらない。
<br />「ちゃんと話したの!?　言わされてただけかもしれない。言えない事情があったのかもしれない。いきなり天使になっちゃって、あんたに助けてって言いたくても言えなかっただけかもしれないじゃない！」
<br />「だけど、俺にはなんの力もなくて……」
<br />　愛花の掌が、机の上の鞄を強く叩く。
<br />「わたしにだってないわよ！」
<br />　叩いて、愛花は身を乗り出していた。
<br />「力なんてないわよ！　でもだから!?　それがなに!?　力があるかどうかなんて関係ないじゃない！」
<br />「でも、詠は……」
<br />「詠ちゃんが『あきらめて』って言った!?　そんなの関係ないでしょ！　天使になっちゃった!?　そんなの関係ないじゃない！　わたしはずっと見てきた！　だから知ってるの、詠ちゃんが小学校の頃からずっと、毎日のように真代くんのお弁当を持ってきてくれてたことも！　真代くんの帰りを校門のところでいつも待ってたことも！　真代くんも知ってるはずだよ！　詠ちゃんの笑顔は、いつも真代くんに向けられてたって！」
<br />　開の顎が小さくうなずく。それで充分だった。
<br />「だったら……！　だったら確かめなくちゃだめじゃない！　いなくなったのが本当に詠ちゃんの意思なのか！　ううん……もし詠ちゃんが自分の意思でいなくなったんだとしてもそんなの関係ない！　真代くんが思うなら！　真代くんが詠ちゃんを信じてるなら！　詠ちゃんのいる場所が、詠ちゃんが幸せになる場所が真代くんの隣だって、そこだって思うなら！　それが正しいって思うなら！　ムリヤリにでも連れ戻さなくちゃだめじゃない！」
<br />　言い切った。届けと、目を醒ませと。
<br />　やがて。
<br />「そう、だよな……」
<br />　驚きに呆けたような表情をしていた開は、顔を伏せ、わずかな沈黙の後でそう言った。
<br />　かたく握られた開の拳は、震えを止めていた。
<br />　少年は顔を上げる。
<br />「そうだよな。俺、本当のこと、なにも知らないままなのにな」
<br />「……うん」
<br />「俺が、詠を信じてやらなくちゃいけないのにな」
<br />「……うん」
<br />「もし、詠が話せないことがあるならさ。俺が、聞いてやらなくちゃいけないのにな」
<br />「真代くん……」
<br />「開でいいよ」
<br />　そう言って、開は照れくさそうに微笑んだ。
<br />　そこではじめて、身を乗り出していた愛花は、開の顔が息も触れそうなほどすぐ近くにあることに気付いて、あわてて身を引いた。
<br />「じゃ、じゃあ、開、くん……で」
<br />「ああ」
<br />　開は、もう一度微笑む。
<br />　それは一週間ぶりに見せた、おだやかな笑顔だった。
<br />　彼は言う。
<br />「そういえばさ、渡来。俺たちって、十年近く同じ学校にいて同じクラスにだって何度もなったのに、こんなふうにふたりきりで話したことってなかったよな」
<br />「うん、そうだね」
<br />「俺さ、詠がいなくなってから、この教室がすっごく広く思えててさ。こんなに狭い教室なのに、そこにたったひとりでいるような気になってた。だけど、違ったんだな……」
<br />　愛花は「うん」と、うなずき。
<br />「わたしが、いるよ」
<br />　そう、言葉を返した。
<br />「わたしが、いる。小さな力しかないけど、詠ちゃんに届かなかった力だけど、それでも一人よりも二人のほうがずっと、ずっといいはずだから！」
<br />「サンキュ、だ」
<br />　少年の瞳に、力が宿っているとわかった。
<br />　開の笑顔に愛花は気付く。
<br />　大事なことを、忘れていたと―――
<br />　それは、気持ちを伝えるのは、力ではないのだということ。
<br />　誰かを救い誰かを守るのは、超能力なんかじゃなくて、一歩を踏み出す勇気と、言葉を伝えようとする気持ち……誰でも当たり前に持っている、支えたいという、守りたいという気持ちなんだっていうこと。
<br />　Ｅ．Ｇ．Ｏ．の人たちは、愛花に「世界のために」と言った。それは素敵なことだけれど、でもそれを愛花ができるのは、もっと……もっと先のことだ。
<br />　愛花は思う。
<br />　いつでも思っている。
<br />　大好きな家族、ともだち、学校の仲間や先生や近所の人たちを守りたいと。
<br />　ならば今は、目の前で傷付いているこの開という少年を守り、彼を支えよう。
<br />
　彼の日常に平穏をとりもどしてあげるため……きっと、この手に宿った力は今、そのためにあるのだから。
</p>
			  <br />
<br />
<p class="aright">著者：寺田とものり</p>
			</div>]]></content:encoded>
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		<item>
		<title>キャラクタープロフィール “渡来 愛花”</title>
		<link>https://www.aquarian-age.org/profile-aq04-ego01/</link>
		<comments>https://www.aquarian-age.org/profile-aq04-ego01/#comments</comments>
		<pubDate>Fri, 28 Oct 2011 09:00:35 +0000</pubDate>
		<dc:creator>aqweb_admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[キャラクタープロフィール]]></category>
		<category><![CDATA[ストーリー]]></category>

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		<description><![CDATA[渡来 愛花 &#8211; わたらい あいか &#8211; 「べ、別に特別な感情とかないけど、 　どうしてこの私があの馬鹿のお守りを!?」 　自分たちは進化した人間で、やがて人類を導いていく存在だと思っていた。選ばれた私たちの手に、地球の命運がかかっているんだと、単純に信じていた。 セラフィエルが襲来したとき、E.G.O.の本部にいた。藤宮真由美を遠隔サポートするバックアップエスパーの一員だった。 藤宮真由美の戦闘を意識接続状態で体験して、恐怖した。仲間のエスパーが過負荷でばたばたと昏倒していく姿を見て、愕然とした。そこは、名誉とか才能が意味をなさない、ひどくなまなましい闘争の場だった。 戦いが終わって、本部を出ると、東京はセラフィエルによる砲撃で被災していた。都内のエスパーのほぼ全員が真由美のサポートに駆り出されていたので、人命救助活動ができたエスパーは皆無に近かった。 私たちが動員されていれば、かなりの人名が救えたのでは？ 進化した人間が、人類を導く――。それって本当なの？ 幼なじみの少年が、倒壊しかけた木造家屋に飛びこんで、何人かを助け出したらしいと聞いた。出火した家屋に飛びこんで、自分は怪我をしたらしい。価値ある戦いとはいったい何だろう。 ある日、E.G.O.上層部から秘密の命令を受けた。とある人物がマインドブレイカーかもしれない。動向を探って報告せよ、というのだ。その人物とは……。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="boxtext">
			  <br />
			  <div class="acenter"><img src="https://www.aquarian-age.org/wordpress/wp-content/uploads/profile_chara_ego_b.jpg" alt="渡来愛花" width="325" height="460" border="0" class="img_line" /></div>
			  <br />
			  <div class="title_cardlist">
			    <h3 class="cap_ego">渡来 愛花<span class="xsmall"> &#8211; わたらい あいか &#8211; </span></h3>
			  </div>
			  <h3>			    「べ、別に特別な感情とかないけど、<br />
			    　どうしてこの私があの馬鹿のお守りを!?」</h3>
			  <p>　自分たちは進化した人間で、やがて人類を導いていく存在だと思っていた。選ばれた私たちの手に、地球の命運がかかっているんだと、単純に信じていた。<br />
セラフィエルが襲来したとき、E.G.O.の本部にいた。藤宮真由美を遠隔サポートするバックアップエスパーの一員だった。<br />
藤宮真由美の戦闘を意識接続状態で体験して、恐怖した。仲間のエスパーが過負荷でばたばたと昏倒していく姿を見て、愕然とした。そこは、名誉とか才能が意味をなさない、ひどくなまなましい闘争の場だった。<br />
戦いが終わって、本部を出ると、東京はセラフィエルによる砲撃で被災していた。都内のエスパーのほぼ全員が真由美のサポートに駆り出されていたので、人命救助活動ができたエスパーは皆無に近かった。<br />
私たちが動員されていれば、かなりの人名が救えたのでは？<br />
進化した人間が、人類を導く――。それって本当なの？<br />
幼なじみの少年が、倒壊しかけた木造家屋に飛びこんで、何人かを助け出したらしいと聞いた。出火した家屋に飛びこんで、自分は怪我をしたらしい。価値ある戦いとはいったい何だろう。<br />
ある日、E.G.O.上層部から秘密の命令を受けた。とある人物がマインドブレイカーかもしれない。動向を探って報告せよ、というのだ。その人物とは……。</p>
			  </div>]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>キャラクタープロフィール “八剣 うめ”</title>
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		<pubDate>Fri, 28 Oct 2011 08:50:42 +0000</pubDate>
		<dc:creator>aqweb_admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[キャラクタープロフィール]]></category>
		<category><![CDATA[ストーリー]]></category>

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		<description><![CDATA[八剣 うめ - やつるぎ うめ &#8211; 「じゃあもう死ねばいいです」 　土地の神社に生まれたお嬢様である。セラフィエルが襲来したとき、まだ力には目覚めていない。 巫女たちの中に、特異な力に目覚める者がいるらしいことは、知っていた。けれどもそれは自分には無縁の話だと思っていた。そういう巫女たちが「阿羅耶識」 という組織で団結しているということも知っていたし、彼女の家の神社もそこに属してはいた。けれども、霊能者を輩出していないことで、彼女の神社はとても 軽く扱われていた。 セラフィエルの攻撃で、街は大きな被害を受けた。砲撃による破壊があっただけでなく、何らかの理由で、能力者たちが一時的な錯乱をきたした。ダークロアの獣人や、極星帝国の兵士が暴動を起こし始めていた。 避難中に、そうした者たちに襲われた。みんな逃げだし、自分だけが取り残された。恐怖に震えていたそのとき、極星剣士の死体が握っていた魔剣が、急に彼女 に反応した。魔剣はひとりでに彼女の手に収まり、その瞬間、彼女は能力に目覚めた。 敵をまたたく間に切り伏せてしまうと、万能感で高揚した。今や彼女は、自分の身を自分で守り、自分の敵を滅ぼすことができる。 そう。刃向かう者は、みんな切り伏せてしまえばいい。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="boxtext">
			  <br />
			  <div class="acenter"><img src="https://www.aquarian-age.org/wordpress/wp-content/uploads/profile_chara_arayashiki_b.jpg" alt="八剣 うめ" title="八剣 うめ" width="325" height="460" border="0" /></div>
			  <br />
			  <div class="title_cardlist">
			    <h3 class="cap_ara">八剣 うめ <span class="xsmall">- やつるぎ うめ &#8211; </span></h3>
			  </div>
			  <h2>
			    「じゃあもう死ねばいいです」</h2>
			  <div>
                <div>
                  <p> 　土地の神社に生まれたお嬢様である。セラフィエルが襲来したとき、まだ力には目覚めていない。<br />
                    巫女たちの中に、特異な力に目覚める者がいるらしいことは、知っていた。けれどもそれは自分には無縁の話だと思っていた。そういう巫女たちが「阿羅耶識」      という組織で団結しているということも知っていたし、彼女の家の神社もそこに属してはいた。けれども、霊能者を輩出していないことで、彼女の神社はとても    軽く扱われていた。<br />
                    セラフィエルの攻撃で、街は大きな被害を受けた。砲撃による破壊があっただけでなく、何らかの理由で、能力者たちが一時的な錯乱をきたした。ダークロアの獣人や、極星帝国の兵士が暴動を起こし始めていた。<br />
                    避難中に、そうした者たちに襲われた。みんな逃げだし、自分だけが取り残された。恐怖に震えていたそのとき、極星剣士の死体が握っていた魔剣が、急に彼女  に反応した。魔剣はひとりでに彼女の手に収まり、その瞬間、彼女は能力に目覚めた。<br />
                    敵をまたたく間に切り伏せてしまうと、万能感で高揚した。今や彼女は、自分の身を自分で守り、自分の敵を滅ぼすことができる。<br />
                    そう。刃向かう者は、みんな切り伏せてしまえばいい。</p>
                </div>
			    </div>
			  </div>]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>キャラクタープロフィール “レミリア・スウェーデンボルグ”</title>
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		<comments>https://www.aquarian-age.org/profile-aq04-wiz01/#comments</comments>
		<pubDate>Fri, 28 Oct 2011 08:40:52 +0000</pubDate>
		<dc:creator>aqweb_admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[キャラクタープロフィール]]></category>
		<category><![CDATA[ストーリー]]></category>

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		<description><![CDATA[レミリア・スウェーデンボルグ 「自分自身の半身を失って、どうして生きていけるというの？」 　セラフィエル襲来のとき、双子の妹フォルナとともに、戦闘魔術師部隊の一員として樹海周辺にいた。セラフィエルを封じ込めるために、地水火風の四魔道師が出撃しており、この４人のそばに敵を近づけさせないことが彼女たちの作戦目的だった。 極星帝国の魔剣士たちと遭遇戦になった。激しい戦いのすえ、敵の撃退に成功したが、双子の妹は戦死していた。彼女自身も、敵味方が繰り出した儀式魔術の爆 風に巻き込まれ、手傷を負い、気絶してしまった。仲間に回収され、目が覚めたときには、日本のWIZ-DOM地下拠点にいた。 その後、彼女は研究室にこもりつづけている。 自分自身の半身を失った。その傷が癒えるまではしばらくかかるだろう。 　極星帝国が支配する別の地球に、平行存在としての妹が生存していることを、彼女はまだ知らない。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="boxtext">
			  <br />
			  <div class="acenter"><img src="https://www.aquarian-age.org/wordpress/wp-content/uploads/profile_chara_wiz_b.jpg" alt="レミリア・スウェーデンボルグ " title="レミリア・スウェーデンボルグ」" width="325" height="460" border="0" /></div>
			  <br />
			  <div class="title_cardlist">
			    <h3 class="cap_wiz">レミリア・スウェーデンボルグ </h3>
			  </div>
			  <h5>
			    「自分自身の半身を失って、どうして生きていけるというの？」</h5>
			  <div>
                <p>　セラフィエル襲来のとき、双子の妹フォルナとともに、戦闘魔術師部隊の一員として樹海周辺にいた。セラフィエルを封じ込めるために、地水火風の四魔道師が出撃しており、この４人のそばに敵を近づけさせないことが彼女たちの作戦目的だった。<br />
                  極星帝国の魔剣士たちと遭遇戦になった。激しい戦いのすえ、敵の撃退に成功したが、双子の妹は戦死していた。彼女自身も、敵味方が繰り出した儀式魔術の爆    風に巻き込まれ、手傷を負い、気絶してしまった。仲間に回収され、目が覚めたときには、日本のWIZ-DOM地下拠点にいた。<br />
                  その後、彼女は研究室にこもりつづけている。<br />
                  自分自身の半身を失った。その傷が癒えるまではしばらくかかるだろう。</p>
			    <p>　極星帝国が支配する別の地球に、平行存在としての妹が生存していることを、彼女はまだ知らない。</p>
			    </div>
			  </div>]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>キャラクタープロフィール “久遠寺 みやこ”</title>
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		<comments>https://www.aquarian-age.org/profile-aq04-dark01/#comments</comments>
		<pubDate>Fri, 28 Oct 2011 08:30:53 +0000</pubDate>
		<dc:creator>aqweb_admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[キャラクタープロフィール]]></category>
		<category><![CDATA[ストーリー]]></category>

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		<description><![CDATA[久遠寺 みやこ - くおんじ みやこ &#8211; 「どんなことされても、それでも人間が大好きですよ」 　セラフィエル襲来のとき、現場の富士樹海にいた。獣の一族の一員として、極星帝国の襲撃を迎え撃った。やがて首領の飯塚秋緒が富士の放棄を決定したので、戦場から落ち延びた。 ２人の姉とともに、市街地に逃げ込んだ。しかし、セラフィエルの異常な能力の余波だろうか、彼女たちは獣人化状態のまま、人間の姿に戻れなくなってしまった。 人間たちによる獣人狩りの標的になった。姉たちとは途中ではぐれてしまった。おそらく２人とも、すでに生きてはいないだろう。 不幸中の幸いといえることだが、極度の体力低下のため、彼女は獣人の姿を保つことすらできず、ただの猫の姿にまで退行してしまった。そのおかげで人間たちから身を隠すことが出来た。 １人になった。自分自身の居場所を求めて、放浪の旅が始まる。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="boxtext">
			  <br />
			  <div class="acenter"><img src="https://www.aquarian-age.org/wordpress/wp-content/uploads/profile_chara_dark_b.jpg" alt="久遠寺 みやこ " title="久遠寺 みやこ" width="325" height="460" border="0" /></div>
			  <br />
			  <div class="title_cardlist">
			    <h3 class="cap_dark">久遠寺 みやこ <span class="xsmall">- くおんじ みやこ &#8211; </span></h3>
			  </div>
			  <h3>
			    「どんなことされても、それでも人間が大好きですよ」</h3>
			  <div>
                <p>　セラフィエル襲来のとき、現場の富士樹海にいた。獣の一族の一員として、極星帝国の襲撃を迎え撃った。やがて首領の飯塚秋緒が富士の放棄を決定したので、戦場から落ち延びた。<br />
２人の姉とともに、市街地に逃げ込んだ。しかし、セラフィエルの異常な能力の余波だろうか、彼女たちは獣人化状態のまま、人間の姿に戻れなくなってしまった。<br />
人間たちによる獣人狩りの標的になった。姉たちとは途中ではぐれてしまった。おそらく２人とも、すでに生きてはいないだろう。<br />
不幸中の幸いといえることだが、極度の体力低下のため、彼女は獣人の姿を保つことすらできず、ただの猫の姿にまで退行してしまった。そのおかげで人間たちから身を隠すことが出来た。<br />
１人になった。自分自身の居場所を求めて、放浪の旅が始まる。</p>
			    </div>
			  </div>]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>キャラクタープロフィール “フォルナ・スウェーデンボルグ”</title>
		<link>https://www.aquarian-age.org/profile-aq04-kyokusei01/</link>
		<comments>https://www.aquarian-age.org/profile-aq04-kyokusei01/#comments</comments>
		<pubDate>Fri, 28 Oct 2011 08:30:12 +0000</pubDate>
		<dc:creator>aqweb_admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[キャラクタープロフィール]]></category>
		<category><![CDATA[ストーリー]]></category>

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		<description><![CDATA[フォルナ・スウェーデンボルグ 「あなたにもう一度会えるなら、どんなことだってするよ」 　セラフィエル襲来のとき、双子の姉レミリアとともに、魔剣士部隊の一員として樹海内にいた。アンペレス要塞から打って出て、獣人たちと激しい戦いを繰りひろげた。 樹海を探索中、魔法陣の中にいるステラ・ブラヴァツキを発見した。討ち取ろうとして、強力な魔法攻撃で返り討ちに遭った。姉は彼女をかばって魔法攻撃を受け、重傷を負った。 そのとき、空から隕石が落ちてきた。爆風が彼女たちに襲いかかった。姉は彼女に覆い被さり、かばいつづけた。姉は死んで、自分は生き残った。 彼女は今や折れた剣。戦う意志をなくしてしまったとのもっぱらの噂。その傷が癒えるまで少し時間がかかるだろう。 　そう。別の地球に、平行存在としての姉が生存していることを知るのは、もう少しあとのことだ。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="boxtext">
			  <br />
			  <div class="acenter"><img src="https://www.aquarian-age.org/wordpress/wp-content/uploads/profile_chara_kyokusei_b.jpg" alt="フォルナ・スウェーデンボルグ" width="325" height="460" border="0" class="img_line" title="フォルナ・スウェーデンボルグ" /></div>
			  <br />
			  <div class="title_cardlist">
			    <h3 class="cap_kyokusei">フォルナ・スウェーデンボルグ </h3>
			  </div>
			  <h3>			    「あなたにもう一度会えるなら、どんなことだってするよ」</h3>
			  <div>
                <p>　セラフィエル襲来のとき、双子の姉レミリアとともに、魔剣士部隊の一員として樹海内にいた。アンペレス要塞から打って出て、獣人たちと激しい戦いを繰りひろげた。<br />
                  樹海を探索中、魔法陣の中にいるステラ・ブラヴァツキを発見した。討ち取ろうとして、強力な魔法攻撃で返り討ちに遭った。姉は彼女をかばって魔法攻撃を受け、重傷を負った。<br />
                  そのとき、空から隕石が落ちてきた。爆風が彼女たちに襲いかかった。姉は彼女に覆い被さり、かばいつづけた。姉は死んで、自分は生き残った。<br />
                  彼女は今や折れた剣。戦う意志をなくしてしまったとのもっぱらの噂。その傷が癒えるまで少し時間がかかるだろう。</p>
			    <p>　そう。別の地球に、平行存在としての姉が生存していることを知るのは、もう少しあとのことだ。</p>
			    </div>
			  </div>]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>キャラクタープロフィール “真代 詠”</title>
		<link>https://www.aquarian-age.org/profile-aq04-eraser01/</link>
		<comments>https://www.aquarian-age.org/profile-aq04-eraser01/#comments</comments>
		<pubDate>Fri, 28 Oct 2011 08:20:08 +0000</pubDate>
		<dc:creator>aqweb_admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[キャラクタープロフィール]]></category>
		<category><![CDATA[ストーリー]]></category>

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		<description><![CDATA[真代 詠 - ましろ よみ &#8211; 「お兄ちゃんと一緒にいたかったよ。 　でも、どうしようもないの。さよなら」 　セラフィエルと呼ばれるあの天使が地上に降りたあの日から、自分の中で何かが変わった。自分という存在がつくりかわるような感じ。繭の中で、さなぎが成虫へと変化していくようなイメージ。 自分が何者であるのかが、うすうすわかりはじめた。そのことをお兄ちゃんに伝えようと思ったけれど、なぜかそれができなかった。まるで、自分の中にいる別の自分に禁止されているようだった。 いえ、そうじゃないかもしれない――。 それを告げるのが恐くて、わたしが言い出せなかっただけかもしれない。 もうすぐお迎えがやってきて、わたしはいなくなる。お兄ちゃんはきっと、とっても悲しむだろうな。けどそれは、どうしようもないことなのです。ごめんなさい。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="boxtext">
			  <br />
			  <div class="acenter"><img src="https://www.aquarian-age.org/wordpress/wp-content/uploads/profile_chara_eraser_b.jpg" alt="真代 詠" title="真代 詠" width="325" height="460" border="0" /></div>
			  <br />
			  <div class="title_cardlist">
			    <h3 class="cap_eraser">真代 詠 <span class="xsmall">- ましろ よみ &#8211; </span></h3>
			  </div>
			  <h5>
			    「お兄ちゃんと一緒にいたかったよ。<br />
			    　でも、どうしようもないの。さよなら」</h5>
			  <div>
                <p>　セラフィエルと呼ばれるあの天使が地上に降りたあの日から、自分の中で何かが変わった。自分という存在がつくりかわるような感じ。繭の中で、さなぎが成虫へと変化していくようなイメージ。<br />
自分が何者であるのかが、うすうすわかりはじめた。そのことをお兄ちゃんに伝えようと思ったけれど、なぜかそれができなかった。まるで、自分の中にいる別の自分に禁止されているようだった。<br />
いえ、そうじゃないかもしれない――。<br />
それを告げるのが恐くて、わたしが言い出せなかっただけかもしれない。<br />
もうすぐお迎えがやってきて、わたしはいなくなる。お兄ちゃんはきっと、とっても悲しむだろうな。けどそれは、どうしようもないことなのです。ごめんなさい。</p>
			    </div>
			  </div>]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>アクエリアンエイジ フラグメンツ～約束の世界～ 断片6</title>
		<link>https://www.aquarian-age.org/fragments-world06/</link>
		<comments>https://www.aquarian-age.org/fragments-world06/#comments</comments>
		<pubDate>Tue, 23 Aug 2011 09:00:24 +0000</pubDate>
		<dc:creator>aqweb_admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[ストーリー]]></category>
		<category><![CDATA[フラグメンツ]]></category>

		<guid isPermaLink="false">https://www.aquarian-age.org/?p=1113</guid>
		<description><![CDATA[断片6「覚醒者たちの沈黙」 　上空から闘争を見物していたミカエルの表情に、かすかな陰りが生じた。 「ム……分解再構成を行ないすぎたのか……。ノイズが混ざっている」 　　　　　☆ 　プラズマの球体を連れた藤宮真由美が、冷たい月みたいに空から見下ろしている。 　地上に人間の形を模したものが立っていたが、左腕が根元から失われていた。傷口がぶくぶくと黒く泡立ち、ふくらみ、たちまち元のように腕が再生する――と思いきや、肘の関節は逆向きについていて、おまけにヒヅメがついていた。 　奇形の左腕はまた泡に代わり、再び形が生まれたが、今度は鳥の翼の先に鹿の枝角がついたおかしな形状だった。何度もやりなおして、ようやく人間型の左腕が構成されたが、プラスチックのような質感をしていてそれはどうしても直せないらしかった。 　藤宮真由美は四つのプラズマを一度に投射した。プラズマは目標に向かう途中で弾けて鞭のようになり敵に襲いかかる。すべてが命中した。食らった「それ」は黒い泡になって飛び散り、瞬時に元の姿へ再生する。 「それ」はふいに地表に沿って飛んだ。飛びながら背中から無数のビームを放った。暗い光線がからみあい、カーブを描いて上空の真由美に殺到する。真由美は回避運動に入った。ランダムに宙をかけめぐるが半数以上のビームが避けられない。体の正面にシールドを多重展開して受けとめる。ビームが着弾する。まるで噛みつくようにシールドが割られていく。あとたった２枚を残してかろうじて防御に成功する。 「それ」は慣性を無視するようなありえない角度で曲がって襲いかかってきた。色違いの左腕が長い針状に変わる。勢いをこめて先端が真由美の胸元に突きこまれる。その直前、真由美は球形の力場を創造して相手にぶつけた。左腕の針はひしゃげた。と思うとそれは四つ又に分裂して真由美にからみつこうとする。 　真由美は自分を中心に力場を形成して針を吹き飛ばした。同時に見えない拳を相手に叩きつけ、そのまま地面まで打ち下ろす。 　相手が地面に叩きつけられたのを見届けると、真由美はそのまま相手を、見えない巨大な手で握りしめ、押さえつけ、握りつぶしにかかる……。 　その見えない真由美の手が、内側からゆっくりと押し開かれつつある。敵は怪力で、強引に束縛から逃れようとしているのだ。真由美は握りつぶす力をさらに増す。 　さらに強い力で内側から押し開かれていく。 　真由美はさらに力をこめる。額に汗がにじむ。毛細血管が破れ、体の末端に紫斑ができはじめている。歯茎から血がにじんでいる。 　真由美はさらにエネルギーを注入した。 　　　　　＊ 　E.G.O.の円形ホールでは、断続的に絶叫が上がっていた。すでにかなりの人数が、ねばついた白い泡を吐いて、シートの中で昏倒していた。真由美が消費している精神エネルギーは、標準的なエスパーが１人が内包している全精力を一瞬ごとに空にしてしまうほどだ。 　結城望が同胞たちに警告した。 「サイコスピアが来ます！　みなさん、備えて！」 　　　　　＊ 　藤宮真由美は敵を固定したまま、自分の周囲にサイコスピアを展開した。 　ひとつやふたつではない。まるで時計の目盛りのように、無数のサイコスピアが彼女の周りに放射状に展開していく。かなり強力なエスパーでもこれ一本を生み出すためにほとんどの力を使い果たす。 　サイコスピアの輪が、角度を変える。高速回転を始める。 　動けない敵に向かって、投げつけられた。 　避けられない「それ」は、光の輪をまともにくらった。爆風に混じって、「それ」の肉体は細かい泡の粒となって四散する。 　　　　　＊ 　その攻撃を支えるために、数十名のエスパーがまた気絶した。ホールは恐慌状態に陥りつつある。 　誰かがヒステリックに叫んだ。 「ちょっと！　藤宮真由美は私たちを殺す気なの!?」 「違うわ」 　結城望が目をつぶったまま、小さく答える。 「どう違うの！」 「……私たちが、彼女を殺しているの」 「わからない。真由美はこっちの状況を把握できていないのか？」 　万城目が呈した疑問に、結城望が「いいえ」と答える。 「彼女は、何も感じないことに決めただけ。何も感じないから戦える。……そうなったのは彼女のせいではありません」 　　　　　＊ 　無数の泡となったものは、砂礫の大地にしみこんでいった。すると地面はふいに赤く染まり、たちまち赤黒い樹木が生い茂りはじめた。一点から放射状に、赤い森林が発生する。 　樹木はねじれた枝をのばしてゆき、ある一瞬、無数の触手へと変化した。それら触手のすべてが上空の藤宮真由美を狙って伸びていく。真由美は力場を弾けさせてそれらを砕いていったが、ついに全身にからみつかれてしまった。 　触手はまたたく間に、真由美を取り囲み、繭のように閉じこめてしまった。 　大地が揺れた。 　まるで地の底で何かが爆発したような衝撃だったが、その感覚は正しかった。いくつもの場所で土が噴水のように吹き上がる。液化した土の噴出が、柱のようにあちこちに立った。柱はつながって壁になり、そして地表面がまるごと転覆した！ 　土石流が発生し、生まれたばかりの赤い森をまるごと飲み込んで消し去っていく。やがてそれがおさまってしまうと、風景は元の荒野に戻り、藤宮真由美は何事もなかったかのように繭を切り裂いて自由になった。 　地面の上で、黒い泡が一カ所に結集し、「それ」はひとつに再構成された。しかしその姿は、足のあるべきところに鳥の翼が生え、手のあるべきところに魚のひれがあり、その他さまざまな動植物の部品が混ざり合った異様な形状だった。 　　　　　☆ 「いかん……。短期間で再構成を繰り返しすぎだ。エネルギー欠乏症で自己崩壊を起こしてしまう」 　太陽を背にして地上を見下ろしていたミカエルは翼を大きく動かして急降下を始めた。減りすぎたエネルギーを供給してやろうと思ってのことだ。 　だが……。 　地上近くまで降りてきたミカエルは、突如、下から伸びてきた触手に胸の中央を貫かれた！ 「な……吸わ、れる……」 　ミカエルは見た。その触手は自分が救ってやろうとしたものの体の一部だった。触手がストローのようになって、自分の中身を吸い出していくのを、ミカエルは感じた。 「待て、貴様……」 　ミカエルの周囲を覆っていた炎のオーラが消え失せる。たちまち人の形を維持できなくなる。ミカエルは自ら炎のかたまりへと変身すると、触手をそれで焼き払い、どこかへ消え去った。 　　　　　☆ [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="boxtext">
              <h3 class="chapter">断片6「覚醒者たちの沈黙」</h3>
              <p>　上空から闘争を見物していたミカエルの表情に、かすかな陰りが生じた。<br />
「ム……分解再構成を行ないすぎたのか……。ノイズが混ざっている」<br />
<br />
<br />
　　　　　☆<br />
<br />
<br />
　プラズマの球体を連れた藤宮真由美が、冷たい月みたいに空から見下ろしている。<br />
<br />
<br />
　地上に人間の形を模したものが立っていたが、左腕が根元から失われていた。傷口がぶくぶくと黒く泡立ち、ふくらみ、たちまち元のように腕が再生する――と思いきや、肘の関節は逆向きについていて、おまけにヒヅメがついていた。<br />
　奇形の左腕はまた泡に代わり、再び形が生まれたが、今度は鳥の翼の先に鹿の枝角がついたおかしな形状だった。何度もやりなおして、ようやく人間型の左腕が構成されたが、プラスチックのような質感をしていてそれはどうしても直せないらしかった。<br />
<br />
　藤宮真由美は四つのプラズマを一度に投射した。プラズマは目標に向かう途中で弾けて鞭のようになり敵に襲いかかる。すべてが命中した。食らった「それ」は黒い泡になって飛び散り、瞬時に元の姿へ再生する。<br />
<br />
「それ」はふいに地表に沿って飛んだ。飛びながら背中から無数のビームを放った。暗い光線がからみあい、カーブを描いて上空の真由美に殺到する。真由美は回避運動に入った。ランダムに宙をかけめぐるが半数以上のビームが避けられない。体の正面にシールドを多重展開して受けとめる。ビームが着弾する。まるで噛みつくようにシールドが割られていく。あとたった２枚を残してかろうじて防御に成功する。<br />
<br />
「それ」は慣性を無視するようなありえない角度で曲がって襲いかかってきた。色違いの左腕が長い針状に変わる。勢いをこめて先端が真由美の胸元に突きこまれる。その直前、真由美は球形の力場を創造して相手にぶつけた。左腕の針はひしゃげた。と思うとそれは四つ又に分裂して真由美にからみつこうとする。<br />
　真由美は自分を中心に力場を形成して針を吹き飛ばした。同時に見えない拳を相手に叩きつけ、そのまま地面まで打ち下ろす。<br />
<br />
　相手が地面に叩きつけられたのを見届けると、真由美はそのまま相手を、見えない巨大な手で握りしめ、押さえつけ、握りつぶしにかかる……。<br />
　その見えない真由美の手が、内側からゆっくりと押し開かれつつある。敵は怪力で、強引に束縛から逃れようとしているのだ。真由美は握りつぶす力をさらに増す。<br />
　さらに強い力で内側から押し開かれていく。<br />
　真由美はさらに力をこめる。額に汗がにじむ。毛細血管が破れ、体の末端に紫斑ができはじめている。歯茎から血がにじんでいる。<br />
　真由美はさらにエネルギーを注入した。<br />
<br />
　　　　　＊<br />
<br />
　E.G.O.の円形ホールでは、断続的に絶叫が上がっていた。すでにかなりの人数が、ねばついた白い泡を吐いて、シートの中で昏倒していた。真由美が消費している精神エネルギーは、標準的なエスパーが１人が内包している全精力を一瞬ごとに空にしてしまうほどだ。<br />
　結城望が同胞たちに警告した。<br />
「サイコスピアが来ます！　みなさん、備えて！」<br />
<br />
　　　　　＊<br />
<br />
　藤宮真由美は敵を固定したまま、自分の周囲にサイコスピアを展開した。<br />
　ひとつやふたつではない。まるで時計の目盛りのように、無数のサイコスピアが彼女の周りに放射状に展開していく。かなり強力なエスパーでもこれ一本を生み出すためにほとんどの力を使い果たす。<br />
　サイコスピアの輪が、角度を変える。高速回転を始める。<br />
　動けない敵に向かって、投げつけられた。<br />
<br />
　避けられない「それ」は、光の輪をまともにくらった。爆風に混じって、「それ」の肉体は細かい泡の粒となって四散する。<br />
<br />
　　　　　＊<br />
<br />
　その攻撃を支えるために、数十名のエスパーがまた気絶した。ホールは恐慌状態に陥りつつある。<br />
　誰かがヒステリックに叫んだ。<br />
「ちょっと！　藤宮真由美は私たちを殺す気なの!?」<br />
「違うわ」<br />
　結城望が目をつぶったまま、小さく答える。<br />
「どう違うの！」<br />
「……私たちが、彼女を殺しているの」<br />
「わからない。真由美はこっちの状況を把握できていないのか？」<br />
　万城目が呈した疑問に、結城望が「いいえ」と答える。<br />
「彼女は、何も感じないことに決めただけ。何も感じないから戦える。……そうなったのは彼女のせいではありません」<br />
<br />
　　　　　＊<br />
<br />
　無数の泡となったものは、砂礫の大地にしみこんでいった。すると地面はふいに赤く染まり、たちまち赤黒い樹木が生い茂りはじめた。一点から放射状に、赤い森林が発生する。<br />
　樹木はねじれた枝をのばしてゆき、ある一瞬、無数の触手へと変化した。それら触手のすべてが上空の藤宮真由美を狙って伸びていく。真由美は力場を弾けさせてそれらを砕いていったが、ついに全身にからみつかれてしまった。<br />
　触手はまたたく間に、真由美を取り囲み、繭のように閉じこめてしまった。<br />
<br />
　大地が揺れた。<br />
<br />
　まるで地の底で何かが爆発したような衝撃だったが、その感覚は正しかった。いくつもの場所で土が噴水のように吹き上がる。液化した土の噴出が、柱のようにあちこちに立った。柱はつながって壁になり、そして地表面がまるごと転覆した！<br />
<br />
　土石流が発生し、生まれたばかりの赤い森をまるごと飲み込んで消し去っていく。やがてそれがおさまってしまうと、風景は元の荒野に戻り、藤宮真由美は何事もなかったかのように繭を切り裂いて自由になった。<br />
<br />
　地面の上で、黒い泡が一カ所に結集し、「それ」はひとつに再構成された。しかしその姿は、足のあるべきところに鳥の翼が生え、手のあるべきところに魚のひれがあり、その他さまざまな動植物の部品が混ざり合った異様な形状だった。<br />
<br />
<br />
　　　　　☆<br />
<br />
<br />
「いかん……。短期間で再構成を繰り返しすぎだ。エネルギー欠乏症で自己崩壊を起こしてしまう」<br />
<br />
　太陽を背にして地上を見下ろしていたミカエルは翼を大きく動かして急降下を始めた。減りすぎたエネルギーを供給してやろうと思ってのことだ。<br />
　だが……。<br />
<br />
　地上近くまで降りてきたミカエルは、突如、下から伸びてきた触手に胸の中央を貫かれた！<br />
「な……吸わ、れる……」<br />
　ミカエルは見た。その触手は自分が救ってやろうとしたものの体の一部だった。触手がストローのようになって、自分の中身を吸い出していくのを、ミカエルは感じた。<br />
「待て、貴様……」<br />
　ミカエルの周囲を覆っていた炎のオーラが消え失せる。たちまち人の形を維持できなくなる。ミカエルは自ら炎のかたまりへと変身すると、触手をそれで焼き払い、どこかへ消え去った。<br />
<br />
<br />
　　　　　☆<br />
<br />
<br />
「馬鹿な！　完全にコントロール外ではないか！」<br />
　巡洋艦クラウディアの艦橋で激発したのは、医療ポッドから出たばかりのラユューである。彼女はミカエルに降りかかった事態をモニターごしに見て、三眼をむいた。<br />
「収束キラービーム、準備せよ！」<br />
「目標は？　コマンダー」<br />
　問うたオペレーターにラユューは怒鳴った。<br />
「あの狂った戦闘ユニットに決まっているだろう！」<br />
<br />
<br />
　宇宙空間から人間１人を狙撃することのできる破壊光線。それが軌道上から発射された。致死性の光がはるか頭上から「それ」に襲いかかる。対象は何が起こったかわからないまま、蒸発して消滅するはずであった。<br />
<br />
　攻撃結果を報告しようとして、オペレーターが、一拍、口をつぐむ。<br />
「目標、レーザーのエネルギーを吸収しています」<br />
<br />
<br />
　　　　　☆<br />
<br />
<br />
　細い光が、「それ」の立っている場所だけに激しくふりそそいだが、まるでシャワーを浴びているようなものだった。ミカエルと軌道レーザーのエネルギーを吸収しおえてしまうと、「それ」は正しい位置に手と足と翼のある本来の姿へと戻った。<br />
<br />
「それ」は、クラウディアのいる方向を、正確に見据えた。右手に、闇色の力場が生じて、棒状に伸長する。<br />
　黒いサイコスピアだった。<br />
　宇宙空間へ向けて、投射された。<br />
<br />
　　　　　＊<br />
<br />
　黒い槍は、クラウディアの舷側を貫いた。貫通場所から誘爆が起こり始める。<br />
<br />
　　　　　＊<br />
<br />
　藤宮真由美は、念動で地面を持ちあげ、再び敵に襲いかからせた。しかし今度の土石流は、見えない力場にせきとめられ、凍りついたように固まってしまう。相手に届かない。<br />
「それ」の足元が、渦を巻き始めた。「それ」が立っている周囲の地面が、すり鉢状に消滅しはじめる。<br />
　そのすり鉢が、放射するように広がっていく。<br />
　深くなっていく。<br />
　すでに樹海だった場所の三分の一を占めるほどになっている<br />
　その中心、もとは地面だった高さに、「それ」が浮いている。<br />
<br />
　藤宮真由美は理解する。<br />
　あれは、手近な質量そのものをエネルギーに変えて、食ったのだ。<br />
　だから食われた部分は、《イレイズ》されたように見える……。<br />
<br />
「それ」の周囲の空間がゆがんでいるのが見えた。「それ」の周りに、真由美には黒っぽく感じられる力場がいくつもわだかまり、細かいプラズマを放出していた。<br />
<br />
　真由美は対応が遅れた。局所的な暴風が巻き起こる。おそらく真由美のいる場所を、大気の分子ごと「食おう」としたらしかった。<br />
　空間消滅に巻き込まれる――寸前。<br />
　空飛ぶ何者かが手を引いて真由美を救ったのだ。<br />
<br />
　全身に傷を負った東海林光だった。<br />
　真由美の腕をつかんだまま、カーブを描いて高速飛行する。<br />
「あれは地球をまるごと食う気よ。冗談じゃないっ」<br />
　眼下のすり鉢状の地形は見ている間にその版図をじわじわと広げていた。<br />
　その最深部に、もはや地面の色はないのだった。中心部に、虚無があった。真っ黒な闇があり、そのさらに向こうに、さまざまな色をした天体がきらめいているのだった。<br />
　宇宙……。<br />
「このままじゃ地球の全部があれに変わる。バックアップエスパーを半分こっちに繋いで。２人がかりなら、今ならまだいける！」<br />
<br />
　藤宮真由美は、感情のとぼしい口調で、こうつぶやいた。<br />
　<br />
「あなたは生き残って」<br />
<br />
「え？」<br />
「力は私が預かる」<br />
　その瞬間、東海林光の意識はダウンした。東海林光の中に残っていたエネルギーは握った腕ごしに藤宮真由美が奪いとっていた。東海林光は、強力な念動力で、自分が遠くに吹き飛ばされるのを、薄らいだ意識の片隅で感じた……。<br />
<br />
　　　　　＊<br />
<br />
「どうして!?　……え？」<br />
　モニターしていた結城望が立ちあがる。万城目が緊張して問うた。<br />
「何を感じた？」<br />
「私の能力を、真由美さんの中に一時的に転移すると言っています」<br />
「どういう意味？」<br />
「あ……。真由美さんが私を逆ハックしている。もうすぐ私の能力は彼女の一部になります」<br />
「抵抗して！」<br />
「無理ですよ……。あと数秒で……」<br />
<br />
　結城望の意識は落ちた。彼女は藤宮真由美のシステムの一部となった。真由美の一部となった結城望はホールにいる全員に対して強制的にテレパスをつなぎ、巨大な集合意識を形成した。<br />
　ひとつの意識と化したエスパーたちのホール。意識をなくした者、まだ意識のある者、そのすべてがひとつに束ねられ、力は柱のように天上に向かって伸びた。<br />
　結城望を中心にして、今やこの場は、巨大な精神感応のアンテナだった。今、ここから、地球上のあらゆる特殊能力者に対して強制接続が可能だった。<br />
　その力が、行使された。<br />
<br />
　彼女たちの精神のひだは、光よりも速い速度で地球をあまねく覆い、人を超えた能力をそなえたあらゆる存在の意識に強制的にバイパスをねじこんだ。<br />
　テレパシーのバイパスが、ヨーロッパ圏に集うWIZ-DOMの魔法使いたちにねじこまれた。<br />
　日本と北米と台湾とロシアにいる、E.G.O.の超能力者たちにねじこまれた。<br />
　アジア全域と南米に偏在する、阿羅耶識の霊能者たちも、意識をつなぎとめられるのを感じた。<br />
　世界中の闇に潜む、ダークロアの堕ちた神たちすら例外ではなかった。<br />
　次元を越えて、極星帝国の古代人たちすら、その精神のネットワークの一部と化していた。<br />
<br />
　およそこの世の「覚醒した人類たち」の中で、その強制接続から逃れえたものなど、１人もいなかった。<br />
<br />
　その「光の道」を経由して、それらすべての偉大な存在たちから、「力」が吸い上げられていった。偉大な存在たちは、その偉大さの源を吸い上げられるのを感じたが、それに抵抗するすべはなかった。<br />
<br />
　集められた力のすべては、結城望を経由して、藤宮真由美に送りこまれてゆく。<br />
<br />
<br />
　　　　　☆<br />
<br />
<br />
　兵力を集め、態勢を立て直すために、いったん戦いの中心地から離れようとしていたレイナ・アークトゥルスは、その道程で強制接続を感じた。<br />
「な……これは」<br />
　自分自身から力が失われていくのを感じて、彼女は戦慄した。抵抗しようと、意志の力をふりしぼろうとしたとき、自分自身の意志の内部に藤宮真由美の２つの目があって、見つめられているのを感じた。自分の中に藤宮真由美がいることを知って彼女は驚いたが、藤宮真由美の中に自分がいるのかもしれなかった。<br />
<br />
　両側を歩いていたはずのカーラとレジーナが、頭をかかえ、膝をついた。ふりかえると、レイナに付き従っていた魔剣士たちがばたばたと倒れていった。<br />
<br />
「何だ……何が起こっているのだ」<br />
<br />
<br />
　　　　　☆<br />
<br />
<br />
　満身創痍の弓削遙、そして各務柊子の２人が、四聖獣の巫女の肩を借りて、まだかろうじて森林といえる樹海外縁部をさまよっていた。<br />
　６名が同時に、「接続」を感じた。直後、弓削と各務の両名が、最後に残っていた生命力を奪われて気絶する。<br />
<br />
　四聖獣の巫女たちも、それぞれに立っている力を喪失し、全員が地に倒れ伏した。<br />
「気が、気が枯れる……」<br />
　阿武巳弥は、感情のない２つの目が、自分を見ているのを感じた。その目の正体が何者なのかもわかった。<br />
「やめて……。私たちはいい。お２人が死んでしまう……」<br />
　竜ヶ崎藍が怒りを込めて地面を叩いた。<br />
「――藤宮真由美ッ！」<br />
<br />
<br />
　　　　　☆<br />
<br />
<br />
「アジトは放棄だ！　各自都市部に潜伏しなさい！」<br />
<br />
　飯塚秋緒は手下の人獣たちを逃がし、自分はしんがりを務めていた。かなりの仲間が「あれ」の質量破壊に巻き込まれてしまった。残った同胞たちは、あらかた逃走にかかってくれているようだ。匂いでそれがわかって、彼女は安心した。<br />
<br />
　意識が一瞬とぎれた。<br />
<br />
　次に気づいたとき、彼女は倒れていた。体の傷の再生が止まっている。さっきまでは順調に元に戻っていたのだ。<br />
　命が吸われる感じを、彼女は味わっている。<br />
<br />
「どんだけだよ、その取り立ては……」<br />
<br />
<br />
　　　　　☆<br />
<br />
<br />
　手下の四魔道師が、呼びかけに答えない。ステラ・ブラヴァツキは大樹にもたれて体を横たえ、荒い息をしていた。彼女は隕石の余波を食らって重傷を負っていた。あえて爆心地近くに身を置いたのは、着弾位置の精度を増すためだ。<br />
　彼女は、藤宮真由美の瞳が無言で訴えているのを知る。<br />
<br />
「いいだろう、おまえには借りがあった。……全部持っていくがいい」<br />
<br />
　目をつぶった。<br />
<br />
<br />
　　　　　☆<br />
<br />
<br />
　そのようにして覚醒した人類のすべての力が藤宮真由美の手元に集まってきていた。彼女の周囲には見えない力の束が無数にプールされていた。まるでプリズムの反射のようにさまざまな色に輝いている。<br />
<br />
　藤宮真由美は降下した。さっきまで地面のあった高さにまで降りた。同じ高さに「それ」は浮いていた。果たして生き物なのかすらさだかではない「それ」の、本物なのかどうかもわからない顔と、向かい合った。<br />
<br />
「それ」の周囲にも、地面の質量から転換した膨大なエネルギーがたゆたっていた。そのエネルギーは、ガス星雲の色みたいに靄めいた紫色だった。<br />
<br />
　藤宮真由美は、言葉が通じるのかどうかもわからない「それ」に向かって、肉声で一言だけ語りかけた。<br />
<br />
「消えるのよ」<br />
<br />
<br />
　　　　　☆<br />
<br />
<br />
　戦いの場から離れようとしているさまざまな勢力のさまざまな超人たちは、そのとき、遠くで、ふたつの光の柱が立ちそびえるのを見た。<br />
<br />
　ひとつは、暗い紅色で、大きく、力強く、星に似た輝きがちりばめられていた。<br />
<br />
　もうひとつは、白にかぎりなく近い金色で、枝のような放電を伴っており、その放電は花火じみたさまざまな色にはじけた。<br />
<br />
　そのふたつの光の柱が、足元に竜巻を伴って、ぶつかりあうのを人々は見た。<br />
<br />
　時にからみあい、時に弾きあい、周囲のものを暴力的に巻き上げながら、いくたびも互いを打ちあうのを、人々は目撃した。<br />
<br />
　意識のある者はその目で見た。意識を失った者も、目ではない場所でそれを見た。<br />
<br />
　まるで時間が止まっている中での出来事だ、と誰もが感じた。<br />
　永劫に思えるあいだ、それが続いた。<br />
<br />
　　　　　＊<br />
<br />
　地球上にいるすべての人間が、その一瞬、意識をなくした。<br />
　その一刹那に、ひきのばされた白昼夢を見た。<br />
<br />
　夢の内容はさまざまだ。それぞれの人間が属する文化に沿ったビジョンを見た。ある者は竜とユニコーンが戦う夢を見たのだし、またある者は、勇気ある若者が異民族の族長と一騎打ちをする姿を見た。天使と悪魔の闘争を見た者もいれば、まったく配役を入れ替えて、悪魔と天使の闘争を見た者もいた。あるいは炎と風に見えた。鬼神と菩薩。単に色彩の混ざり合いに見えた者もいた。抽象的な形状が、互いにからまりながら複雑に姿を変化させるイメージでとらえた者もいた。鉄と蔦。森林と都市。海流ともうひとつの海流。さまざまな対立のイメージが、すべての人類、すべての亜人類、かつて人類だったもの、人類に作られて人類同然になったもの、力のあるもの、ないもの、それらすべてにわけへだてなく知覚された。それは一見対立ではあったが、闘争の中で互いの同質性を露呈し、しかしやはりまったく同じものではないのだった。<br />
<br />
　そして何かが起こった。<br />
<br />
　　　　　＊<br />
<br />
　その何かは、近くにいた者たちには、爆発として認識された。<br />
<br />
<br />
　　　　　☆<br />
<br />
<br />
　災害のあと、小石川愛美は、比較的早く自分の家に戻ってくることができた。<br />
<br />
　幸い、彼女の家は暴風に耐え、あの大火災にも見舞われなかった。ありがたいことだ。街の景色はそうとう変わってしまったが、彼女の部屋には何も変わりはなかった。<br />
<br />
　それが奇妙な居心地悪さとして、彼女の心にわだかまっていた。<br />
<br />
　子供の頃から持っているいくつかのぬいぐるみも、ベッドの上に放り出したままにしてある外出着も、髪留め（彼女は「ぱっちん」と呼んでいる）のコレクションも、額には入れたが掛ける場所がなくて壁際に立てかけてあるジグソーパズルも、そうしたすべてが「これは日常の続き」という意味を伝えてくる。<br />
　でも、そうではないことがわかっているから、胸がさわぐのだ。<br />
<br />
　窓ガラスが音を立てた。<br />
<br />
　愛美は振り返った。<br />
<br />
　でもそれは、小さな昆虫が、部屋に飛びこもうとしてガラスにぶつかっただけだった。愛美は、窓に近づいて、ガラス戸を開けた。<br />
<br />
　風が吹き込んできた。<br />
　けれども、そこから「よいしょ」と言って入り込んでくる人はいなかった。愛美はしばらくの間、見えるわけもない風の流れを見ようとして、外の景色を眺め続けていた。</p>
	      <br />
	          <p class="acenter">　 <img src="https://www.aquarian-age.org/wordpress/wp-content/uploads/world01_name06.jpg" width="474" height="50" alt="藤宮真由美"></p>
	          <p class="acenter"><img src="https://www.aquarian-age.org/wordpress/wp-content/uploads/world01_img06.jpg" alt="藤宮真由美" width="420" height="420" class="img_line" /></p>
	          <p>　行方不明。</p>
            </div>]]></content:encoded>
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